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医療機関の安全管理とリスク・マネジメント

関西医療福祉通信 冨井 淑夫

第五次医療法改正で医療安全管理を義務化

 医療サービス行為に係わるリスクとしては医療事故・過誤、院内感染、食中毒、環境リスクとしては医療廃棄物・一般廃棄物、水質管理、外的なリスクとしては地震・災害等、医療現場には事故につながる様々な危険因子が多く存在しています。病医院は未然に事故を防止するため、常にリスクと対峙し組織的な危機管理対策への取り組みが求められているのは言うまでもありません。
 診療報酬制度においては、2002年10月から医療安全管理体制が未整備の病院には、1人1日当たり「入院基本料からの10点減算」というペナルティーが課せられるようになり、その後、病院も安全管理委員会の設置や職員研修を積極的に実施し、安全管理体制の確保に努めるようになってきました。2006年の診療報酬改定では入院基本料の減額措置が廃止され、施設基準として規定されたことから、厚生労働大臣が定める基準に適合しない医療機関は入院基本料の算定自体が不可能になりました。医療機関における患者の安全確保に関しては、医療法の第20条において構造設備の安全確保が明文化された他、医療法施行規則の第10条及び11条においても、院内指針の整備や体制確保等の具体的基準が設けられたのです。
 一方で同年には、医療安全対策に係わる専門の教育を受けた看護師、薬剤師等を医療安全管理者として専従で配置している医療機関に対しては、一入院につき50点の加算が付く「安全管理体制加算」を新設。厚生労働省はアメとムチの両輪によって、より実効性のある医療安全対策を組織的に推進するための制度設計を推し進めました。
 さらに2007年4月1日の第五次医療法改正では、「医療安全管理の義務化」が実施されることになり、医療の安全を確保するための具体的措置として、①医療安全②院内感染対策③医薬品安全管理④医療機器安全管理の4つの体制の確保が義務付けられたのです。4つの体制確保の主な内容は資料1の通り。〔より詳細な内容は、厚生労働省ホームページ参照〕
 この改正で注目すべきは、病院・有床診療所のみならず無床の小規模診療所(医科・歯科)においても、医療安全管理指針・院内感染対策指針が例示され、開業医も厳しく医療安全対策が迫られるようになったということです。〔病院・有床診療所では義務とされる委員会設置は、無床診療所の場合は任意〕
 2008年4月の診療報酬改定で常勤の臨床工学技士配置に対する評価として、「医療機器安全管理料1」(月1回・50点)が新設されましたが、今後の改定で医療安全確保の観点から、さらなる診療報酬上の評価が行われることも予想されます。
 こうした制度面の環境整備に先駆けて、多くの医療現場では社会問題化した医療ミスの防止やセキュリティー対策への試みが、実践されるようになってきました。