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精神科病院における院内感染対策
 (その4:精神科病院において考慮すべき院内感染症)

財団法人創精会 松山記念病院
山内勇人、佐伯真穂、遠藤美紀、名本千由里、戸村美名子、木村尚人

1.精神科患者の院内感染に対する特殊性

 院内感染対策上、精神科病院において留意すべき感染症は、患者層の違いから他科とは異なる面があり、この点においても精神科病院の特殊性があります。
 一言で精神科患者と言っても、集団を嫌う統合失調症患者と、他の疾患とでは、市中感染に罹患するリスクは異なるでしょう。また、躁病の同性愛者や薬物依存患者などでは、ウイルス性肝炎や性的感染症(HIVなど)のリスクは高くなると考えられます。生活レベルの低い患者も多く、栄養状態や生活環境の問題から、結核や疥癬なども念頭に置く必要があります。入院患者では集団性・閉鎖的環境にあるために、院内流行しやすい環境下にあることも考慮するべきです。高齢者も多く、身体的合併症を有する患者では、MRSAなどの日和見感染症も発生します。
 精神科患者では、患者自身が感染症に罹患し易い「院内感染に対する脆弱性」があります。また、自ら症状を訴えなかったり、診察や検査の協力が得られないために診断が遅れたり、行動制限に協力が得られないために、「自らが暴露源となり得る可能性」が高いことを考慮する必要があります(図1)。

精神科患者の院内感染における特殊性

2.スタッフの職業曝露感染のリスクについて

 精神科患者では、自らが院内感染の曝露源になる可能性があることから、他科以上に職業曝露感染に注意する必要があります。このことは、精神科急性期患者のみならず、療養病棟においても、それぞれで異なったリスクがあります。この職業曝露感染も含め、精神科病院において考慮すべき感染症について、精神科病期別に次の項で述べたいと思います。