Home > チーム医療活動 > 精神科急性期治療における安全管理 (PAGE 1)

精神科急性期治療における安全管理

千葉県精神科医療センター 平田豊明

用語の整理

  精神科急性期治療には、病態や治療行為に特有の様々なリスクが伴います。それらは、従来知られていたよりもはるかに深刻であることがわかってきていますが、本題に入る前に、まずは、医療安全一般にかかわる用語を整理しておきます。  医療行為のプロセスで生じた予定外の有害な出来事を総称して有害事象(occurrence)と呼びます。院内での自殺から院内感染、転落・転倒、与薬ミス、褥創、副菜の付け忘れに至るまで、あらゆる予定外事象を含みます。ただ、有害事象という硬い用語はあまり普及していないため、単に医療事故と呼ばれる場合も少なくありません。  有害事象のうち、過失性が高く結果が重大なものを医療過誤(malpractice)、過失性を問えない重大事象を医療事故(accident)、過失性の程度にかかわらず、結果が軽微な有害事象をインシデント(incident)と呼びます。これらの関係を図1に示します。

有害事象の重篤度の過失度図
なお、有害事象の結果は次のように6段階で定義します。
レベル0:
有害事象発生の未遂事例。多重チェックにより、与薬ミスを未然に防止したなど。
レベル1:
有害事象が発生したが実害がなかった事例。朝薬と昼薬を間違えて与薬したが、
同じ処方内容だった事例など。
レベル2:
有害事象が発生し警戒態勢をとった事例。転倒による頭部打撲に際して、
意識障害のチェックや頭部CT検査を施行した事例など。
レベル3:
治療行為を要する有害事象が発生し、結果として治療期間が延長された事例。
転倒によって裂創を生じ、皮膚縫合を要した事例など。
レベル4:
重大な後遺障害を伴う有害事象。院内で縊首自殺を企図し、救命できたが、
重大な脳障害が残った事例など。
レベル5:
有害事象による死亡事例。