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転倒

東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野
秋山(大西)美紀

もし転倒が起こってしまったら

 患者さんの部屋を訪室した時、ベッドの脇で患者さんが倒れていたことはありませんか。または大きな物音がして駆けつけてみると、患者さんが廊下で倒れていたことはありませんか。転倒とは、完全にバランスを崩してしまい、手あるいは臀部などの身体の一部が床面についてしまうことで、精神科病棟では一番多く見られる医療事故です。本来は起こってはならないことですし、予防策を立てておくことが先決ですが、万一の場合にそなえてどう対処すべきか準備をしておく必要もあります。
 図1は日本精神科看護技術協会の「精神科ナースのための医療事故防止マニュアル」より引用した、転倒事故対応のフローチャートです。転倒事故発生後の「緊急性の判断」の箇所は特に重要な部分です。「観察」の項目は普段から頭にいれておきましょう。  医師へ報告したり、処置をしたりするだけではなく、情報収集をもとに、その転倒はどういう状況で起こったのか(場所、時間、関係した人、なども含めて)、考えられる要因はなにか、その時どう判断しどう対処したか、それが妥当であったか、対処した自分自身の状況はどうであったかをふりかえり、インシデント・アクシデントレポートに記載することが必要です。それは再び事故を起こさないためにも不可欠なことです。これまでの転倒リスクの研究の結果、過去に転倒歴のある患者さんが再び転倒するリスクが高いといわれています。ですからその患者さんが過去に転倒したことがあるかはぜひ知っておくべき情報ですし、記録しておくべき情報です。同じ患者さんが再転倒しないようにすることはもちろん、インシデント・アクシデントレポートの分析によって、自分の病棟の問題点、改善すべき点が浮かび上がってくるため、結果的に他の患者さんの転倒予防対策にもなります。

図1 転倒事故対応フローチャート