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先進事例から学ぶ安全管理の具体的な進め方

国立保健医療科学院
伊藤弘人

1.仕組みはできた、ではその次は?:K病院の取り組み

 安全管理に関して、次のような声を聴くことがあります。「委員会をつくり、マニュアルを作成し、報告用紙もでき、かたち(仕組み)はできた。しかし、現実には具体的に質的改善に結びついていない」「次は何をすればよいのか」などです。委員会等はできたけれども、あまり機能していない医療施設は少なくないかもしれません。

 そこで今回は、ご投稿いただいた病院の先進的なお取り組みから、安全管理の具体的な進め方について考えてみたいと思います。まずK病院での取り組みをみてみましょう。

 この病院では、平成11年頃から、医療安全委員会の発足の準備を始め、翌年組織ができあがりました。さっそくマニュアルを作成し、これまでの報告用紙を見直して、新しくしたのです。しかし、当初は報告が少ないという、他の病院と同じような課題を抱えていました。

 そこで、K病院では、啓発活動と情報の共有を進めることにしました。啓発活動では、すでに報告されていた事例をモチーフに防止策や注意点をポスターにして、各部署で配布したのです。また、報告された重要な事例については、院内ニュースで知らせるとともに、報告事例を集計して、院内の機関紙に掲載・配布し、経験の共有を進めたのです。K病院では院内報の作成に積極的で、この媒体を有効に活用して、インシデントの報告を促しました。

 この取り組みが効を奏し、インシデントの報告数は増加し、その分析をする段階に入っています。安全管理は、委員会を立ち上げただけでは十分ではなく、安全管理の取り組みについて、第一線の職員が理解して積極的に参加するような働きかけが必要であることが、K病院の取り組みから学ぶことができます。

K病院での取り組み

平成12年:組織整備
医療安全管理委員会発足(前年から準備)
同年:リスクマネジメントマニュアルの作成
同年〜:報告用紙見直しと啓発活動
啓発活動
ポスターによる啓発:報告事故をモチーフに防止策や注意点をまとめたポスターを作成・配布
提出を促すポスターの定期的作成・配布
情報の共有
重要事故は院内ニュースで知らせる
報告事例の集計を院内季刊誌に掲載・配布
医療事故報告とその分析