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リスクマネージメントを導入して

 

医療法人霞水会土浦厚生病院
看護部長 川島マチ

〜報告制度活用の実際〜

 平成14年4月に「事故対策委員会」を「医療安全管理委員会」に改め報告の仕組みや報告用紙の見直しを行った。その結果、報告数が飛躍的に増え(前年比6倍増)、報告書を分析し、対策を講じることにより、次のことが明確になった。
1)業務改善が進み、部署間の連携が円滑になり、病院と看護に変革をもたらした。
2)内容別に分類すると設定した項目に入らない「その他」の「その他」が多く、病院には種々雑多なリスクが存在することが判明した。

1.仕組みや報告用紙の見直しによる報告数の飛躍的増加

報告をより迅速に行うため、第1報の報告用紙(インシデント・アクシデントレポート)は記入が簡単にできるようチェック方式を採用した。図1(45KB)pdf必要に応じ、詳細な内容を記述式で第2報として提出することになっている。図2(46KB)pdf報告者名は本人にこだわらず所属長でも良いことになっている。 同様のインシデント・アクシデントが発生しないよう、全部署に対し速報で「注意喚起情報」図3(39KB)pdfが流れる仕組みとなっている。また委員会では毎月の分析と問題点を分析し、全部署に提示をおこなっている。図4(18KB)pdf図5(33KB)pdf

2.医療事故の防止を目的としたインシデント・アクシデントの内容分析

内容別では薬物22%、転倒16%、転落3%、その他59%であった。「その他」を更に13項目に分けたが、どこにも入らない「その他」が59件で総件数の29%であった。「その他」の「その他」を詳細分析し原因別に見ると、1)職員、2)患者様、3)設備となり、4)の割合は45.7%であった。図6(24KB)pdfまた、原因は職員に由来することが45.7%と高かった。

3.職員の業務改善による医療事故の防止

 医療事故が発生し易い高齢・合併症病棟における安全を確保するため、人員を増加や、早出・遅番・休日勤務等の勤務体制の改善など、マンパワーの配置を充実するとともに、事務的業務のうち事務部門へ委託が可能な業務を委託することにより、看護業務に専念できるよう改善を図った。また、事故が発生し易い退院・転棟時、他科受診時、PICU使用時の手続きマニュアルを整備し、業務の標準化を図り安全が保持出来るようにした。

4.関係部署間との連携による医療事故の防止

 誤薬や誤嚥等の事故防止対策として、薬局や栄養課と積極的に連携を図ることにした。
 誤薬防止を推進するため、薬剤師が看護部の「申し送り・カンファランス」に参加することや、薬剤師自ら病棟パトロールを実施するなど病棟における連携を強化した。この他薬剤情報についても定期的に看護部へ提供できる体制を整えるとともに、薬剤の一包化や薬包紙への印字を大きくすることにより与薬ミスの軽減を図ることにした。
 栄養課とは誤嚥予防対策を目的にメニュや食材の検討を行うとともに、栄養士の病棟巡回を実施することを要請した。

5.各委員会活動による医療事故の防止

 従来から設置されている防災委員会や感染対策委員会メンバーが定期的に院内のパトロールを行い、院内の安全点検を実施し医療事故に結びつきそうな状況をチェックして医療事故の防止に努めている。図7(40KB)pdf図8(129KB)pdf

6.施設・設備の改善による医療事故の防止

 設備構造面に起因する事故を防止するため、喫煙室の難燃化等の設備構造面での改善を行った。

7.出入り業者との連携による医療事故の防止

 現在①給食、②清掃、③売店 ④リネン、 ⑤理容・美容以上5つの業務を外部委託しているが、委託先担当者との定例委員会の開催やミーティングを重ね、院内の対策並びに対応についての理解を求め、外部委託に起因する医療事故が発生しないよう対策を講じている。
リスクマネージメントでは、報告制度の活用が重要であり、報告の的確な分析と原因の究明、現場への素早いフィードバックが大切である。
なぜ問題が起こったかを問い続ける。問題に対する対策を考え実行する。安全な医療に向けて日々努力を続けて行く事が大切である。また、究極の対策はこのような、病院内の仕組みを活用して「人作り」をすることである。

以上