Home > チーム医療活動 > 「医療事故報告とその分析」〜4年間の経験を通して〜

「医療事故報告とその分析」〜4年間の経験を通して〜

 

医療法人桐葉会 木島病院
看護管理グループ
川ア 正志

 

 木島病院における医療安全管理委員会は、平成11年に医療事故防止対策委員会の準備に入り、平成12年4月に設立、同時に準備期間にリスクマネジメントマニュアルを作成し、全職員に配布、記述式の報告書による事故把握を開始した。しかし、発足当初は職員に事故防止といった意識は少なく、報告書の提出に至っては、事故報告がわずかにあがる程度でヒヤリハットに関しては殆ど上がってこない状況であった。事故防止の上で、最も重要な報告が上がってこなければ的確な対応は不可能である。委員会では報告書の見直しとポスターによる啓発活動に力を入れることにした。4年間の学習と経験を終え、職員に事故防止の意識が徐々に根付き、報告の重要性が理解され、報告件数が飛躍的に増加することへとつながった。

 今回は、平成14年度(平成14年4月〜平成15年3月)に報告された医療事故報告書は、257件で過去2年間の報告件数を合わせた数(平成12年度110件、平成13年度141件)を上回る報告数となっている。又ヒヤリハット報告に関しては、平成13年度は34件(8ヶ月)であったものが、平成14年度には605件へと急速に増加している(図1・図2参照)。この急速な増加をもたらせた背景として、報告書の整備と職員の事故防止に対する意識の向上が上げられる。
 これから先は、当院が取組んだ報告書の整備と職員に対する意識向上の取組みについて触れていく。

<実際の活動内容>
◎ポスターによる啓発 
・ 実際に報告された事故をモチーフに防止策や注意点をポスターに盛込み全部署に配布。 ・ 定期的に報告書の提出を促すポスターを作成し全部署に配布。
◎情報の共有
・ 重要事故に関しては、その都度ニュースとして情報を流し、同様事故の続発防止を呼びかける。 ・ 報告書を集計し各部署で報告されている事故を季刊誌に掲載し各部署にフィードバックする。
◎報告書の整備
・ 記述式からチェック方式に当院で行った報告書に関するアンケートの結果、提出が行われない原因として、記載に時間を要することに関連した回答が多く見られた。これを重視した委員会では、発生内容を重視するのではなく、発生状況と報告の習慣を持たせることを重視したチェック方式の報告書へ、又、発生しやすい事故(転倒・誤薬)に関しては、専用の報告書で行えるように変更を図った。言いかえれば、質より量を重視した結果、職員の報告に対する意識向上が図れたと共にどのような事故が発生又は発生しやすいかも把握できるようになったのである。
◎ 報告書から学んだ事故防止
恥ずかしい話であるが、当院では「誤薬」の発生が多い。平成14年度の事故報告では102件という、報告事故中最も多い件数となっている。しかし、この多くの報告から、誤薬事故の発生状況が把握できるようになり、薬取扱い方法の整備や与薬方法の改善が必要であることが明白となった。これを元にし委員会では、薬を取扱う全てのシステム(与薬行為を含む)を見直し、病院全体で誤薬をなくす取組みを行うまでに至っている。
◎フィードバック
報告された事故に関しては、委員会において部署単位の集計・分析を行い、その部署で発生しやすい事故を明確にし、事故防止アドバイスを入れてフィードバックする。