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医療安全管理の実際

 

千葉県精神科医療センター
清水 千春

1.はじめに

 近年、医療安全に対する取り組みは、医療事故や医療紛争に対する防御的側面だけでなく、良質な医療を提供する観点からも、様々な取り組みや対応が求められています。精神科救急、特に急性期においては、入院・治療における治療同意が結びづらいことや精神科特有の医療行為が誘引となるもの、暴力行為、離院、自殺自傷、法・規則に関するもの等、多岐にわたるインシデント・アクシデントが発生する危険が潜んでいます。これらの理由から、患者自身の安全確保に対する能力の減弱や、他害行為の危険性の高さなどにより、一時的に身体拘束が安全確保の手段として選択されることがあります。しかしこの安全確保のための手段が、逆にインシデント・アクシデントの誘因となることがあり、拘束中の手厚い管理・看護が求められます。
 そこで、今回「身体拘束中の身体管理全般」を取り上げ、その中から特に深部静脈血栓の予防、褥瘡対策について医療安全の観点から千葉県精神科医療センターで行われている取り組みに触れたいと思います。

2.身体拘束中の管理

 患者、職員双方の安全確保及び濃厚な治療・看護を提供する上で、身体拘束は精神科急性期治療においては、必要性の高い手段となっています。しかし、身体拘束には様々な二次的障害が発生する危険性があります。そのため、以下に挙げる事象には特に注意が必要です。

・ 深部静脈血栓症
・ 閉塞性呼吸障害
  抑制帯のからまりによる気道閉塞
・ 転落
  不適切な拘束によるベッドからの転落
・ 拘束帯による血行障害、皮膚障害、神経障害等
・ 嘔吐による窒息  
・ 褥瘡
・ 点滴ライン等の自己抜去によるルートトラブル(出血など)

 これらのリスク予防のため、精神科医療センターでは、「PDF身体拘束中の観察記録」(PDF:59KB)を使用し観察を密に行っています。この記録は、身体拘束中に必ず確認しなければならない項目をもれなく観察するために、1枚の観察記録に集約しています。精神科医療センターは電子カルテではありませんので、実際に看護師が手書きによって、これだけの項目を15分に1回観察して記録するのは、多くの重症者を抱えながらでは容易ではありません。そのため、観察項目が抜けること、患者の変化に気づきづらいと言ったリスクを最小限にとどめる目的で、観察時間に的確にもれなく観察を行うために作成しました。これらの項目以外の対応や観察点、ケア等は看護記録(経時記録用紙)に記入するようにしています。

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