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看護師の薬物療法への関心とチーム医療
〜看護師と薬剤師の協同が頓服薬使用を減らす〜

7. まとめ 〜チーム医療の重要性〜

 隔離・拘束も考えられるような急性期の患者は、思考や感情の障害を伴い、対話も困難な場合がありますが、この時期にある患者はコミュニケーション再開の時期とも言われているように、急性期においても患者が対話を求めていることに変わりはありません。紹介した研究結果から、薬物療法への興味・関心を抱いている看護師は、強制的治療を好まず、患者に寄り添い関わりを持ち、待つことを看護観として抱いている可能性を示していると考えられます。急性期ケアにおいて、患者と対話を持ち、見守り・待つ看護と薬物療法との兼ね合いや方法について検討することもまた、精神科看護のケアの質の向上に繋がるといえるでしょう。
 また頓用薬処方を最小限にするためには、看護師が、薬剤の専門家である薬剤師に、薬剤に関する疑問などを日頃から気軽に相談するといった、密なコミュニケーションをとる必要があるといえます。
 つまり看護師が、薬剤師をはじめとする他職種とのコミュニケーションや連携を深めること、チーム医療を推し勧めようとする病棟文化こそが、行動制限最適化へのひとつの鍵をにぎり、かつ、抗精神病薬の過剰投与を防ぐ可能性があることを示唆していると考えられるのです。

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