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看護師の薬物療法への関心とチーム医療
〜看護師と薬剤師の協同が頓服薬使用を減らす〜

医療法人川越同仁会 川越同仁会病院
松本佳子

1.はじめに

 精神科医療における薬物療法の占める位置は大きく、ごく一部の例外を除いて薬物療法が必ずおこなわれています(文献1)。また、近年の診療報酬改定の流れに象徴されるように、わが国の精神科医療も急性期治療の重視による入院期間の短縮を目指す方向に動いています。このような流れの中で、精神科急性期における薬物療法と、隔離・拘束などに関するケアは、急性期治療の中でも特に大きなウエイトを占めていると考えられます。そのため、急性期病棟における看護師の薬物療法への関与と看護ケアは、さらにその役割の重要性を増していくと思われます。
 薬物療法、とりわけ頓用薬に関して、欧米における精神科急性期治療病棟では、頓用薬は日常的に使用されており、入院患者の80%がその投与を受けていると言われています(文献2-6)。近年の研究(文献7)では、頓用薬の処方が抗精神病薬の多剤大量処方の主な原因であると言及されています。また、日本における精神科医の抗精神病薬多剤大量処方の関連要因も報告されていて(文献8)、その要因もいくつか見いだされています。
 その要因のひとつに、「看護師からの追加処方の要望」が、「医師の頓用薬指示の増量にも反映」されているといわれています。現在、精神科臨床において、看護師が患者に頓用薬を投与することは一般的な治療技法となっています。しかし、コクラン・レビュー(文献9)ではこの技法が看護師に薬物療法への過信を生む可能性があることも指摘されていて、頓用薬の有用性や有害性を示唆するに足る質の高い研究は皆無であると言われています。
 そこで今回、看護師の薬物療法への関心が、隔離・拘束など急性期の処遇に関するケアへの意識とどのように関連しているのか(調査1)、さらに、看護師のどのような意識の在り方が抗精神病薬の過剰投与を予防するために有効なのか(調査2)を調査した2つの研究をご紹介します。これらの調査結果は、看護師と医師・薬剤師との関係性が、薬物治療、及び、隔離・拘束といった強制的治療の在り方にどのような影響を及ぼすかについて、興味深い結果を示しています。はじめに2つの調査の簡単な概要を説明し、次に、結果から考えられることについて検討を深めていきたいと思います。

24(09.07.03)