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統合失調症の服薬アドヒアランス〜評価法と心理社会的介入法を中心に〜

国立精神・神経センター精神保健研究所
社会精神保健部 佐藤さやか

Ⅰ.はじめに

 近年、精神科医療は入院医療中心から地域生活支援中心への転換が図られようとしています。これを実現するためには住居や経済的支援などの福祉的支援と地域生活においても必要に応じて医療サービスが継続的に提供される医療的支援の双方がチームによって包括的に行われることが必要と考えられます。
 統合失調症は抗精神病薬chlorpromazineとhaloperidolが用いられるようになった1950年以降、薬物治療による病状の改善が可能になったとされており、1996年には非定型抗精神病薬の1つであるrisperidone(商品名リスパダール)が我が国でも発売され、その後2001年には、perospirone(商品名ルーラン)、olanzapine(商品名ジプレキサ)、 quetiapine(商品名セロクエル)が、また2006年には国内4番目の非定型抗精神病薬としてaripiprazole(商品名エビリファイ)が発売されています。
 宮田(文献1)は人生の大半を抗精神病薬の維持療法とともに過ごす必要のある統合失調症においては、確実に効果があり継続への負担の少ない薬剤を選択し、治療経過をサポートしていくことが大切であると述べています。またこの点をふまえて経口薬による維持療法では、再発予防効果が高く、治療反応性が高く、錐体外路症状の発現頻度が低い非定型抗精神病薬を従来薬に優先して用いるべきである、とも述べています。非定型抗精神病薬は、欧米では日本発売前に用いられ、安西・佐藤・灘谷・加藤(文献2)によれば、従来の定型抗精神病薬では閉鎖病棟から出られなかった多くの患者の地域生活を可能にしたとされています。また安西他(文献2)は、非定型抗精神病薬は従来の定型抗精神病薬と比べて、これまで改善が困難な例も多かった陰性症状や認知機能障害の改善が期待されることを述べています。
 このように、地域精神医療に対する時代の要請とこれに応えるようにして発展してきた非定型抗精神病薬の開発によって、統合失調症の薬物療法はめざましい発展を遂げているのですが、残念ながら外来治療をうける統合失調症をもつ人々が治療者側の意図したとおりに服薬するとは限らないのが現状です。たとえばMorrison(文献3)は退院後の統合失調症患者の40〜65%が退院してから6週間以内に服薬を中断すると述べています。