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利用者の視点を導入する試み

国立保健医療科学院 伊藤弘人

1.どのように利用者の視点を導入するのか?

 医療に利用者の視点が求められています。ご意見箱を設置したり、患者満足度調査を行ったりする医療施設も少なくありません。 医療以外の分野では、利用者のニーズを常に考え、評価を受け、その結果を活用しており、驚くべきことではないのかもしれません。 また最近は、満足度調査に関する問い合わせは多く、1997年に精神科入院医療ではじめて退院患者満足度調査を多施設で行なった当時とは、隔世の感があります。

 利用者の視点は、さまざまなところから得ることができます。 満足の程度によって、測ることのできる情報源を、模式的に示したのが表1です。 きわめて高い満足度を示す患者さんは、個別に主治医や職員に、具体的に表明するでしょう。 しかし、この群は限られた患者群であり、多くの患者さんは、それほど積極的には満足の程度を表明しません。 医療提供者には、この患者が満足しているのかどうかは、ほとんど判断がつかないことの方が多いと思います。 また、満足度調査には、ある程度満足もしくは不満を持つ患者層が参加する可能性が高いと考えられます。そもそも受けた医療に不満を持つ患者さんは、二度と医療を受けには来院しないのではないでしょうか。

 このように、利用者の視点は、医療提供側に自然に入ってくるものではありません。 どのような方法であれ、患者の満足度を反映している情報を活用するための取り組みが必要なのです。

表1.利用者の視点を得る方法
満足の程度 情報源と測定方法
きわめて高い満足 個別に医療者へ表明、ご意見箱
ある程度の満足 満足度調査、ご意見箱
ある程度の不満 満足度調査、ご意見箱
不満 2度と来院しない(隠れている)
予約のキャンセル
強い不満 クレーム
きわめて強い不満 訴訟等

注:拙著「医療評価」から改変