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岐阜県西濃地区の認知症地域連携について
−オレンジ手帳のITC化を利用した4層構造−

公益社団法人日本精神科病院協会
高齢者医療・介護保険委員会 委員長
大垣病院 院長 田口真源

キーワード

地域連携のネットワーク、クリニカルパス、オレンジ手帳、オレンジ手帳のITC化
Local community network, Clinical pathway, Orange note, Case management, Online network using orange note

西濃二次医療圏

 西濃二次医療圏は美濃地方西部にあり、中心地は当院がある大垣市である。西を滋賀県、南で三重県と愛知県に接している。面積1,433.37 平方キロメートル、人口383,037人、医師数555人(10万対医師数144.77)、病院16(うち精神科病院4)、一般診療所272、介護系施設としては、特別養護老人ホーム22、介護老人保健施設12、グループホーム54、ケアハウス6であり(平成23年。3月現在)、大都市部でも過疎地でもない典型的な地方である。トヨタ自動車関連の企業もあり、電車で30分、車で40分前後という距離にある名古屋との間に人、物、医療の流れがある。

岐阜県西濃地区における地域連携のプロセスと現況

 平成22年より岐阜県は県医師会を通じて2つの二次医療圏(岐阜、西濃)に地域連携モデル事業を委託した。筆者は平成23年5月に指定された認知症疾患医療センターのセンター長を兼任していたので、地元医師会より構成員になることを依頼された。おりしも、厚生労働省障害福祉部精神保健福祉課より平成23年度障害者総合福祉事業指定番号26番「精神科病院における認知症入院患者の退院支援及び地域連携に関し、被災地支援につながるモデル連携パスの作成に関する調査について」(以下26番事業と略)を委託され、地域連携パスと地域移行促進パスの作成に取り組むところであったので、26番事業の紹介をして、このうち多職種連携をめざす手帳形式の地域連携パス(以下オレンジ手帳と略)の作成過程にリンクすることを提案した。具体的には医師会の会合、西濃地区医療連携室実務者連絡会(西濃地区にある総合病院、一般病院、精神科病院のケースワーカーによる実務者協議会)、その他の講演会等でオレンジ手帳現在1500冊の配布説明をして、平成26年1月現在で252冊のオレンジ手帳がモデル事業として地域で運用されている。図1は認知症疾患医療センター相談後、オレンジ手帳を発行した患者の発行後の通院先である。平成24年度はかかりつけ医と当院が病診連携して診療に当たるケースは全体の44%であったが、平成25年度の調査では68.9%となり、病診連携が進んでいることを示している。はじめ発行元をどうするか議論があったが、当分の間、当院の認知症疾患医療センターが発行し、16病院の医療相談室にもおいて配布を嘱託する形をとることとした。これは出来上がったオレンジ手帳を配るだけでなく、認知症疾患医療センターを発行元とすることでしっかりしたガイダンスに基づいたマネージメントを行うことになり、継続性と実効性ある地域連携となると考えたからである。すなわち、地域連携パスは多職種地域連携の有力な手段ではあるが、それだけでは不十分で、地域型認知症疾患センターが関与することによりいわば「車の両輪」のように役割を補完することによりさらに効果的に機能すると考える。

図1 相談後の通院

オレンジ手帳とオレンジマップ、おくすり手帳

 オレンジ手帳は現在、日精協にて約6万冊の有償配布をしているが、大垣医師会のHPにもアップされている。大垣医師会ではそのほかに会員にアンケートを行い、各病院とクリニックが認知症に関してどのような医療サービスができるか公表している。これはオレンジマップと称して病院版とクリニック版がある4)。さらに「おくすり手帳」と合冊してほしいというニーズがあり、同じ大きさのおくすり手帳を製作して一緒に綴じている。