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「上越認知症地域連携パス」について

医療法人高田西城会 高田西城病院
理事長 川室 優

はじめに

 医療計画で定めるガン・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病の「4疾患」と、救急・災害・へき地・周産期・小児の「5事業」で構成してきた地域医療は、2011年7月6日社会保障審議会医療部会において医療計画の5疾患目に精神疾患を追加することで、合意がなされました。2013年からの5か年医療計画の策定において精神疾患が加えられることで、精神科地域連携クリティカルパス※の作成が求められていくことでしょう。
 精神疾患追加の背景としては、平成20年患者調査で精神疾患の患者数が323万人と現行4疾病(悪性新生物152万人、脳血管疾患134万人、虚血性心疾患81万人、糖尿病237万人)よりも最多であり、近年は職場におけるうつ病や高齢化による認知症の増加など、国民に広くかかわる身近な疾患となってきたからです。また、精神疾患による死亡数は年間1.1万人(平成21年人口動態統計)であり、さらに年間3万人を上回る自殺者の9割が、何らかの精神疾患を患っていた可能性もあると言われ(平成21年自殺の精神医学的背景に関する研究〔研究代表者加我牧子〕)、対応の緊急性も高いため、精神疾患が地域医療計画に追加されました。そのため、早期治療や地域への移行、一般医療と精神科医療の連携を目的とし、精神疾患の地域連携パスの活用を推進することが求められていきます。

※以下、地域連携パスと略す

上越地域の背景について

 「上越認知症地域連携パス」を活用しているこの上越地域は、新潟県南西部に位置し、上越市、妙高市、糸魚川市の3市で構成されます。陸・海の交通ネットワークが整い、多様な自然に恵まれた地域です。平野部・山間部・海岸部といった変化に富み、気候は四季の移り変わりがはっきりとし、冬季は大陸からの季節風の影響により、全国有数の豪雪地帯となっています。人口20万強の地方都市上越市は高齢化率26.06%(H23.10月末)、人口約3万6千人の妙高市は29.1%(H23.3月末)、人口約4万8千人の糸魚川市は、32.97%(H23.4月)と、いずれも全国の高齢化率22.7%(H21.10月)より高齢化の進展が顕著であります。3市合わせた人口は30万弱を擁し、全国同様に高齢者の認知症患者は確実に増え続けています。
 私どもは平成22年全国認知症有病率調査研究(総括代表者朝田隆)に参加し、上越市における認知症の有病率が、1次調査および専門医診察を実施した2次調査からの推定で12.1%〜20.2%という結果を得ました(研究分担者川室優)。このことからも、確実に認知症患者が増加していることがうかがえます。
 しかし、認知症の鑑別診断は専門性が必要であるため、多くのかかりつけ医がその対応に苦慮しているのが現状です。
 そこで、認知症高齢者を地域でどう支えるかという問題意識のもと、上越医師会(認知症対策委員会:黒木瑞雄脳外科医〔認知症担当理事〕、揚石義夫内科医〔介護保険担当理事〕、田部浩行神経内科医〔県立中央病院〕、当院院長湯浅悟精神科医)が中心となり、さらに当院理事長川室優がサポート医として助言し、新潟県内初で平成21年11月から「上越認知症地域連携パス」の運用が始まりました。完成に至るまでは、世田谷医師会の認知症連携パスを作成した関東中央病院の織茂智之医師のご助言をいただきながら、上越地域で対応可能な、現在の「上越認知症地域連携パス」が出来上がりました。

資料1 上越認知症地域連携パスのご案内