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精神科患者の身体合併症治療における地域連携パス

済生会横浜市東部病院精神科
吉邨 善孝

1.はじめに

 平成25年度より始まる都道府県の新たな医療計画の中で、4疾病(がん、脳卒中、糖尿病、急性心筋梗塞)に精神疾患が加わり5疾病となる見込みである。その際には、医療計画に精神科医療施設の診療機能が施設名とともに明示され、様々な指標ととともに数値目標も示される。ここでは、疾患別の地域連携ネットワークの構築が求められ、地域連携パスが必要となる。一人の患者が、疾患を発症し、在宅に戻るまでには、回復過程に応じて、急性期を担う病院、回復期を担う病院、維持期を担う病院、診療所、福祉施設など複数の機関と関係者が関わることになる。地域連携パスは、疾患別に疾患の発生から、診断、治療、リハビリテーションまでを診療ガイドラインに沿って作成する一連の地域診療計画であり、医療を可視化、標準化するために必要なツールと言える。このツールを利用することにより、患者の回復のための達成目標を患者、関係者双方が共有し、サービスの連続性を確保し、流れが明確となる。
 精神科領域では、典型的なうつ病を想定した精神科連携パス、認知症が疑われる高齢者の精査加療精神科連携パス、精神科デイ・ケアの効果的活用と地域連携パス、退院促進を実現する統合失調症の地域連携パスなどの作成が試みられている。今回は、主に、急性期医療における精神科患者の身体合併症治療における地域連携パスについて概説する。

2.救急医療における精神科患者への対応

 救急医療における搬送困難例の中で、精神疾患を有する患者、アルコールに関連する問題を抱える患者の占める割合は高い。日常の診療で、精神科医が不在もしくは、精神科医療機関との連携が取れていない一般病院では、精神科患者への対応に苦慮することをおそれ、受け入れを拒むことがしばしばみられる。そのため、救急搬送システムにおいて、身体合併症を有する精神科患者の受け入れ可能な医療機関は精神科病床を有する基幹病院などに偏ってしまう。一方、基幹病院側からみると、身体合併症を有する精神科患者に対応できる病床は少なく、十分に受け入れていないのが現状である。その結果、精神科患者では、身体合併症医療の入り口の部分で受け入れが制限され、連携が機能せず、医療の流れが停滞してしまう。それぞれの医療機関がどのような医療を提供し、医療連携を実施するのが望ましいのか、詳細に検討し、ネットワークを活用できるような地域連携パスの作成が求められる。