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地域移行支援における精神科地域連携パス
 〜地域に根ざしたパス作成への試み〜

医療法人財団厚生協会 東京足立病院
看護部長 森 はなこ

1.はじめに

 現在、平成25年度の医療計画の見直しが行なわれる中で、4疾病5事業に精神疾患を取り入れ、5疾病5事業となる見通しが出された。
 精神疾患が医療計画に記載すべき疾患として、平成23年7月に社会保障審議会医療部会で合意され、求められる医療機能の明確化、各医療機関等の機能分担や連携を推進していくとの方針が決定された。平成24年度の各都道府県で医療計画を策定する作業が行なわれ、平成25年度より医療計画の実施となる。
 地域医療計画では、数値目標が示され、精神科医療施設の診療機能の明示、精神科地域連携パスの作成及び作成指針を作成する必要が出てくると予想される。
 平成22年12月に東京足立病院(以下、当院)で東京都より委託を受け、精神科地域ネットワークモデル事業を行なっている。その一貫で「精神保健福祉医療における連携」の交流会を開催した。その際にご講演いただいた、伊藤弘人先生、下村裕見子先生とご縁があり、今年2月に長野で開催された「精神科地域連携パス・ワークショップ」に参加させていただく機会があった。また、平成23年5月には足立区内の病院で「精神科地域医療計画と地域連携パスの勉強会」が開催され、当院での取り組みを発表する機会を得た。
 これらの機会を通して、伊藤弘人先生からの勧めもあり、地域に根ざした精神科地域連携パスの作成を試みるため、区東北部地区(足立区・荒川区・葛飾区)の精神科地域連携パスの作成を考えて行きたいと思い、平成23年10月5日に東京都区東北部を中心とした関係機関の協力を得て、精神科地域連携パス・ワークショップを開催する運びとなった。
 今回は、当院で考えた、精神科地域連携パス、患者手帳とともに、区東北部精神科地域連携パス・ワークショップについてご紹介できればと思う。

2.医療計画の見直し

 医療法における医療計画とは、日常生活圏で、通常必要とされる医療を確保するため、二次医療機関を単位とし、地域医療の効率化、体系化をはかる。医療法第30条で定められている。医療機関の適正な配置や医療資源の効率的な活用、病院の機能分化などを図るため、医療圏の設定や病床数、病院や救急体制の整備について都道府県が策定する計画のことで、1985年の医療法改正で創設された。
 地域保健医療計画は、厚生労働大臣より「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るための基本的な方針」を定め、各都道府県における医療を提供する体制の確保に関する計画を作成し、5年ごとに見直す。次の改定が平成25年度となり、さまざまな問題点を踏まえ、医療の質を高め、効率的な医療を実現するために、より実行力のある医療計画を導入するための準備が行なわれている。

3.地域連携パス

 クリティカルパスは、医療スタッフと患者が治療経過の情報を共有するため、治療や検査等の予定を時間軸に沿ってまとめたものである。よりよい治療を行なうために欠かすことができないツール、コミュニケーションを増やすためのツールである。  病院内にはさまざまなパスが作成されている。当院でも、退院支援パス、転倒転落パス、肺塞栓予防パス、ECTパス、肺炎パス、アルコール依存症パス等作成・運用している。
 地域連携パスとは、「疾病別に疾病の発生から診断、治療、リハビリまでを、診療ガイドラインに沿って、作成する一連の地域診療計画」である。平成18年より「大腿骨頸部骨折」の地域連携パスをはじめとして、取り組みが始まり、一般科では浸透してきている。
 平成18年度〜平成22年度の診療報酬改定では、「大腿骨頸部骨折」「脳卒中」「がん」に限定されているが、「地域連携パス」が、「地域連携診療計画管理料」、「地域連携診療計画退院時指導料」として、診療報酬上で評価された。また、介護保険では、「ケアプラン」のように、様々な関係機関が関わる包括的なスケジュール表が示され、ケアマネージャーを中心に連携が図られている。

72(12.01.27)