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治療看護における精神科急性期クリニカルパスの試み

千葉県精神科医療センター
清水 千春

1.はじめに

 近年精神医療の中で、専門性と医療の質の向上に関心が寄せられ、特に急性期・救急治療においては、高度の治療技術や医療経済効果も求められている。精神科救急医療、急性期を担うためには、一定の決められた時間枠の中で、目標を明らかに設定してかかわらなくては、患者の回復過程および空床確保の観点からみても成り立たない。一般的に精神科でのクリニカルパスを作成することは困難な部分が多いと言われているが、これは患者の病気の症状が非常に個別的であり、かつ社会背景など様々な退院を困難にする理由が存在することからであろう。しかし、問題点を明確にし、集中的に治療看護を行えば退院を早めることが可能である。これには、ある程度の「期日」つまり「いついつまでに退院」という目標が必要であり、この期日に向かって病院スタッフ全員が退院を意識してかかわる必要がある。これが、クリニカルパスの考え方と一致していると言えよう。

2.クリニカルパス作成にあたっての経緯

 千葉県精神科医療センターでは、昭和60年の開設当初から①即応医療②集中医療③継続医療④包括医療の運営方針のもと、3ヶ月という期間を意識し、急性期の患者に退院していただくために、ごく当たり前のように治療看護を日々展開してきた。クリニカルパスが注目され始める前から、患者を取り巻くそれぞれの職種も、各自の役割を意識し、患者を退院させるために、その責務を担ってきた。しかし、精神科救急のニーズが高まり、年々増加する患者数、精神科救急システム事業の開始等から「どうやってベッドをやりくりするか?」すなわち空床確保に頭を悩ます毎日となっている現状にある。開設当初と平成17年度を比較すると(昭和61年度 入院患者271人 病床利用率92.9% 平均在院日数 49.2日:平成17年度入院患者数525人 病床利用率97.0% 平均在院日数39.2日)実に日々目まぐるしい状態にある。約3ヶ月という枠の中で退院までの治療、看護のプログラムを組み立てて展開してきたのだが、今まで以上にスピードアップをはかる必要性が出てきていた。そこで、クリニカルパスを使用することにより、退院までの過程において、治療看護を円滑に展開させるために見落としているところがないか、滞っているところがないか確認するために有効ではないかと考えた。また、経験の浅い医療スタッフへの教育目的のためにも有効であろうとの見地から作成することに踏み切った。