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慢性期病棟におけるクリニカルパス開発のてがかり

国立保健医療科学院
伊藤弘人

 「クリニカルパスを始めるコツ」をお読みいただいた方から、次のメールをいただきました。

 「私は某精神科単科病院に勤める看護師です。当院でもクリニカルパスを作ることになりました。私の所属する病棟は慢性期閉鎖病棟なので長期入院(慢性期)のものを作る予定です。しかし、ひながたになるような資料が探してもありません。どこか長期入院のクリニカルパスを公表している所や、公表はしていなくても実際に作っているところはないものでしょうか?先が見えなくて非常に悩んでおります。アドバイスをいただけたら幸いです。」

 わが国の精神科入院患者さんの40%強が、在院期間5年以上のいわゆる長期在院患者さんです。ですからこのご質問の疑問は、多くの方がお感じになっていることと思います。確かに、慢性期病棟におけるクリニカルパス(以下、パス)の開発には、表1のように、急性期疾患のパスとは異なる点があります。

 それでは、慢性期病棟ではパスは無理なのでしょうか? 私の考えは「否」、つまり慢性期病棟でもパスは開発すべきだと思います。なぜなら、慢性期病棟においても、毎日同じではないからです。たとえば職員は交代していきますし、患者さんはお年をとっていきます。「今日」、「今週」、「今月」、「今年」を意識して、職員は治療・ケアを提供し、患者さんは療養することは、慢性期病棟でも大切です。さらに、マネジメントの観点からも、日常の活動を言葉にし、共通の目標を持つために、パスはなくてはならないものだと考えています。

 しかし、ご質問の通り、慢性病棟での試みはきわめて限られています。そこで、今回は、慢性期病棟におけるパス開発について、考えたいと思います。

表1.慢性期病棟におけるクリニカルパスの難しさ

  1. 患者さんの退院のメドが立っていない
  2. 今日も明日も治療・ケアは同じである
  3. 目標がない