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精神障害者生活訓練施設におけるクリティカルパス開発の試み

 

西浦信博(医療法人西浦会 京阪病院 理事長 院長)
大里 祥(医療法人西浦会 精神障害者生活訓練施設『パザパ』精神保健福祉士)

はじめに

 医療法人西浦会の生活訓練施設『パザパ』は開設7年目を迎え、現在まで111名が入所され、92名が退所されている。なお再入院・死亡を除いた退所を「社会復帰」と仮定するならば、社会復帰率は74%となっている。また平均在所日数は348.8±227.4日であった。開設以来、入所者に合わせた多彩な援助活動を考え日々の実践を行なってきた。その概略は日精協誌第22巻8号に発表した。
 今回、これまでの援助サービスの見直しと改善をはかるために「クリティカルパス」の開発を試みたのでここに報告する。

開発の経緯

1.過去のデータ解析
平成9年の開設時から平成15年10月末日までの利用者について分析した結果、入所者の84.6%が統合失調症であった。入所時年齢については平均53.9±12.3歳であり、65歳未満が全体の82.8%を示した。在所日数は社会復帰できた者の平均は443.2日である。
2.援助活動の分析
これまで実践してきた援助活動を分析した結果、ある程度「標準化」が可能なものが含まれていることが確認され、クリティカルパスの開発が可能であると判断した。また、パスの設定について、当施設の職員はPSW、相談員、事務員で構成されているが、運営上業務自体は共通して行なわれているため、職種による分類は行っていない。

生活訓練施設用クリティカルパスの実際

 対象は「入所直前まで精神科病院に入院されていた年齢(入所時)が65歳未満の統合失調症の者」とし、目標は「入所16ヶ月で社会復帰すること」とした。
 援助内容(パスの「縦軸」)については「生活支援」と「他機関との調整業務」、さらに「医療」とした。なお医療については全ての入所者が当法人の医療施設(京阪病院)に通院している状況である。
 このパスの適用について、これまでの利用状況からみると、対象については全入所者の63%(現入所者の57%)がその適用範囲であり、このうち社会復帰できた者は55%にあたる。社会復帰できた者のうち1年以内での社会復帰は36%、16ヶ月以内での社会復帰は54%、2年以内では97%になる。このことから目標達成の時期は、過去の達成者の半数を超える時期(16ヶ月)と設定する。

今後の課題

 「治療」という比較的明確な目標を持つ医療看護分野の業務に比べ、利用者様のより良い生活(生活の質の向上)をも求められる精神保健福祉業務では、利用者によりそのニーズも異なる部分が多く、業務自体を標準化することが困難なものが多い。
 さらに「アウトカム」をどのような形で捉え評価していくか、そのこと自体意義ある課題であると思っている。
今回開発を試みたクリティカルパスを実際に適用し改善を加えながら、生活訓練施設としてより良い援助サービスのあり方を追求し、当施設利用者の「社会復帰」の実を上げたい。