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正しい身体拘束技術の習得について

公益財団法人 浅香山病院
院内身体拘束マスター制度管理員会事務局 齋藤雄一
精神科認定看護師(行動制限最小化領域)

はじめに

 当院の「身体拘束マニュアル」(以下マニュアル)の概要を前回掲載した。当院は約10年前より「マニュアル」を作成していたが正しい身体拘束技術の周知徹底には至らず浸透は不十分であった。そして身体拘束技術の未熟さによって引き起こされたインシデントも報告されていた。
 そこで「マニュアル」を再整備するとともに獲得した身体拘束技術が維持できるようなシステム(身体拘束マスター制度)を導入した。今回そのシステムを正しい身体拘束技術の習得の一例としてご紹介したい。

身体拘束マスター制度とは

 身体拘束技術を正しく安全な方法で提供するために、実技検定に合格した者だけに資格を与え、身体拘束を行えるようにした制度である。
 実技検定対象は、体幹・四肢・肩拘束を10分以内で行い、実施中には患者役への配慮と人権擁護の視点を持つ者のみが与えられる。

身体拘束マスター制度導入のきっかけ

 身体拘束マスター制度を導入する以前の当院では、身体拘束技術に関するマニュアルはあまり使用されず、実際の患者に行うときに先輩から口伝えで教えられてきた。そのため教える人によって様々で、標準化された正しい技術の指導はできていなかった現状にあった。そのため、技術の未熟さによって引き起こされているインシデントが月間2例ほどあった。報告されていないものも合わせれば数倍のものがあったと考える。インシデントの内容としては、体幹拘束のすり抜けが主であった。また上肢拘束中に拘束帯との摩擦で擦過傷に至っていることもしばしば目にした。
 身体拘束技術に関する資料は、製造会社による動画が主なものであるが手技だけを説明したものである。しかし、患者に対して行う身体拘束は、手技だけを獲得するのではなく安全性を担保するために目的や留意点、拘束帯を使用することでどのような形で行動制限されるのかを理解する必要があると考える。そして最も大切なことは、獲得した身体拘束技術を風化させないことである。

身体拘束マスター制度の目的

  1. 安全で適切な身体拘束技術の獲得と徹底
  2. 身体拘束中の事故防止
  3. 精神保健福祉法の理解と徹底
  4. 看護の質の向上