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身体拘束の基本技術について

公益財団法人 浅香山病院
院内身体拘束マスター制度管理員会事務局 齋藤雄一
精神科認定看護師(行動制限最小化領域)

はじめに

 現在、日本の精神医療の大きな課題として、他の先進国と比較して行動制限患者が多く、しかも行動制限が長期に及んでいることである。特に身体拘束は、毎年6月30日時点での精神科医療施設の状況を調べる「精神保健福祉資料調査」で右肩上がりの現状が報告されている。
  http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/data.html#a1 (改革ビジョン研究ホームページ)
 そして身体拘束に関連した重大な事故は国内だけにとどまらず海外においても報告されている。当院にあっても身体拘束に関連するインシデントレポートから考えられるのは、技術の未熟さが大きいと考察した。しかし、拘束帯の使用方法についてのマニュアルは、各製造会社によるビデオやDVDが主である。そこで当院では、マニュアルを視覚的要素も取り入れて作成し、身体拘束技術の周知徹底と技術維持のためのシステムを導入したのでご紹介したい。

当院の身体拘束マニュアル

当院ではピネル社製、ベッドはパラマウント社製のものを使用

体幹拘束

体幹拘束1 体幹拘束2 体幹拘束3
体幹拘束帯のストラップ部分をベッドのリクライニングや昇降機能に支障がない位置に取り付けます。
この時無駄なゆるみがないようにマットに密着するように取り付けます。
ベッド本体のフレームに固定するとギャッジアップした際に腹部が締め付けられる危険性やベッドの破損につながるおそれがあります。

体幹拘束4 患者の腹部(腰)のくびれの部分に来るように調節して巻きます。
※パテントボタンは臍上腹部で固定します。
体が抜けださないように調節して固定します。ゆるすぎると身体が抜け出てしまい、 ずれて肩や首が絞まったりする危険があります。逆にきつすぎると腸管麻痺の恐れがあります。装着後、手のひらが1枚程度入るくらいの余裕がいいでしょう!
また体幹拘束帯単独での使用は、ベッド上で回転を繰り返すと、強度の腹部圧迫が起こります。防止するには寝返り調整帯も使用しましょう。

寝返り調整帯

寝返り調整帯1 寝返り調整帯2
体幹拘束帯についている金属バックルに寝返り調整帯を通します。
寝返り調整帯を軽く引っ張り、長さを調節して固定します。
仰臥位時は、左右の寝返り調整帯のバランスを取ってください。
長時間、同一体位を取ることのないよう、時間を決め体位変換を行ないます。
寝返り調整帯が緩みすぎていると効果がありません。
一度拘束を外した後の再拘束時は、寝返り調整帯を固定部から一度外してから再度取り付けましょう。

86(13.01.25)