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行動制限最小化チームについて

医療法人財団青溪会駒木野病院
看護部 則村 良

はじめに

 精神医療において隔離・身体的拘束などの行動制限は避けることができない事象ではあるが、行動制限が患者・家族、ひいては地域へネガティブなイメージを与えることは間違いなく、精神医療が信頼を得続けるためにも、各医療機関が日々最小化に取り組み続けなければならない。しかし、630調査の結果(文献1)からも分かるように、隔離・身体的拘束は減少をみせるどころかわずかではあるが増加の傾向にあり、最小化の取り組みは困難な課題であるといえる。駒木野病院(以下、当院)も地域における一つの精神科病院として、行動制限の最小化に向け、2010年度からは事業計画の一つとして行動制限の最小化を位置づけ、前年度比10%減を目標に掲げ、いくつかの活動を展開している。そのなかの1つに行動制限最小化チームがある。行動制限最小化チームは、行動制限最小化委員会のメンバーが長期の行動制限にあるケースに対して病棟の医療チームとカンファレンスを行い、ケースの行動制限の最小化に活動の援助を行っている。
 本稿は当院で実践している行動制限最小化チームについて報告するものであるが、行動制限最小化チームは当院で行動制限最小化に向けた活動の1つである。したがって、はじめに当院で行われている行動制限最小化に向けての活動の全体像を述べてから、行動制限最小化チームについて報告させていただく。

2.行動制限最小化に向けての活動

1)行動制限最小化に向けての活動の全体像(文献2

 当院で取り組んでいる行動制限最小化のための実践の全体像を示す(図1)。実践は、病棟を中心に固定した視点で、上位システムである病院、中間レベルのシステムである病棟、サブシステムである個々の医療従事者に対して行われる。このような実践を行うことで、リダクショニズム的見方からなされる原因と考えられる部分のみに行われる介入とは異なり、全体や部分のダイナミクスを意識しながら、複数に対して並行または継時的介入が可能になると考える。それぞれの介入として、管理部門は病院についての意思決定、調整を行う。行動制限最小化委員会は病棟と管理部門つまり病院へ、精神看護専門看護師(以下、精神看護CNS)は病棟と個々の医療従事者に対してアプローチを行っている。

(1)管理部門の実践

 管理部門の実践は【成果の観察】と【病院全体としての調整】の2つが行われる。【成果の観察】とは、行動制限最小化委員会からデータを受け取り、管理会議で月に一回、行動制限最小化の進展・成果の動向を観察することである。【病院全体としての調整】とは、病院全体として行動制限最小化のための資源、環境の調整を行うことである。

(2)行動制限最小化委員会の実践

 行動制限最小化委員会の実践は【状況の把握】と【病棟への介入】の2つが行われる。【状況の把握】とは、野田ら(文献3)が開発した「行動制限に関する一覧性台帳を用いた隔離・身体的拘束施行量を示す質指標」をもとに月1回行動制限に関する一覧性台帳からデータを算出し、データを用いて各項目の比較を行い、行動制限の状況をモニタリング、分析をすることである。加えて、データを管理部門に提出する。【病棟への介入】とは、行動制限最小化委員会のメンバーで結成した行動制限最小化チームが、病棟を訪問し、隔離・身体拘束が長期化しているケースについて医療チームとカンファレンスを行うことである。行動制限最小化チームの詳しい活動については後述する。

(3)精神看護CNSの実践

 精神看護CNSの役割は多岐にわたるが、行動制限最小化に向けての主な役割、実践は医療チーム医療従事者への【エンパワーメント】である。ここでの【エンパワーメント】とは、個々の医療従事者や医療チームが自らの力を発揮し、行動制限の最小化に取り組んでいけるように、具体的には医療チームや医療従事者が抱いている感情に共感すること、努力を認めること、考えを刺激することなどを行っていく。
 以上のように、それぞれが病院、病棟、医療従事者という病院のシステムの階層、ダイナミクスを意識し、病院全体で有機的に行動制限最小化に取り組んでいる。

駒木野病院の行動制限最小化に向けての活動実践の全体像