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隔離・身体的拘束時の注意事項と記録について

医療法人長尾会ねや川サナトリウム
精神科認定看護師(行動制限最小化看護領域) 浅川佳則

はじめに

 隔離や身体的拘束といった行動制限は、精神保健福祉法の第36条において述べられているように「その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる」とされている。このように行動制限は精神症状や、身体症状の治療を行うにあたって必要不可欠とされる最小限の限度において行われるものであるが、制限を行うにあたっては患者の身体面、精神面ともに最大限の注意と配慮を要することが不可欠である。特に病棟において24時間、患者のベッドサイドでケアを行う看護師の役割は重要である。行動制限の開始や解除といった判断については、精神保健指定医、もしくは医師の判断によるものでなければならないが、医療チームの一員としての看護師の観察やケアが行動制限による治療の成否に大きな影響を与えることは言うまでもない。
 ここでは、私が医療法人長尾会ねや川サナトリウム(以下、当院)における精神科認定看護師(行動制限最小化看護)として、行動制限時のどういう点に注意をしているか、また行動制限最小化のためのマネジメントの方法、観察、記録のポイント等について紹介したいと思う。

隔離中の患者の観察

 隔離は、病棟の機能や患者によって、その頻度が大きく異なることがある。例えば急性期治療病棟において隔離の理由は精神運動興奮や暴力などの精神症状や他害行為によるものが多いが、療養病棟など長期入院患者の多い病棟では、迷惑行為や多飲水など療養生活上の問題によるものが多くなる。また行動制限の期間も急性期治療病棟では非常に短期間なのに比べて、療養病棟など慢性期の病棟では長期化するものが多い。
 看護として観察ポイントとして必要なのは、患者に合わせたアセスメントを行い、隔離が不必要に長期化しないようにすることである。精神症状をアセスメントすることは当然であるが、それに加えて身体機能、セルフケア能力、現実検討能力、対人関係スキルなど多角的にアセスメントを行う必要がある。隔離が長期化する患者の中には、患者自身の問題だけではなく、看護師側による問題のすり替えや、不安とそれに伴う防衛的な姿勢が原因となることがある。他職種とのタイムリーな情報共有やカンファレンスなどを行い、漫然と隔離が長期化しないよう取り組みを行わなければならない。

隔離中に起こりうる事故

  • 自傷
  • 暴行行為(対医療従事者)
  • 転倒
  • 放火(火傷)
  • 室内からの飛び出し
  • ドアの指詰め

 隔離中に起こる事故は上記のようなものがあるが、特に暴力行為は頻度が高く、看護師の観察やケアにも注意が必要である。入室時は1人で対応しないことが原則であるが、入室前には前室から、患者の様子を観察し、患者の居場所等をしっかり観察した上で入室するようにする。入室中は患者の様子をしっかり観察し、安全な距離を保ちながらコミュニケーションをはかるようにする。また、突然の患者の行動に対応できるよう、CVPPP(包括的暴力防止トレーニング)などの訓練を日頃から行うことも、隔離中の事故防止に有効である。夜間は、日中と比べ看護師のマンパワーも少なく、攻撃性や興奮の激しい患者への対応が難しくなるが、一病棟で対応するのではなく、病棟間でいつでも応援態勢が取れるようなシステム構築が求められる。患者、看護師双方にとって安全な環境を整えることが重要である。