Home > チーム医療活動 > 隔離・身体拘束使用防止のための介入技術 ”Six Core Strategies”(主要6戦略)の紹介 (PAGE 1)

隔離・身体拘束使用防止のための介入技術”Six Core Strategies”(主要6戦略)の紹介 〜 およびデータ利用について 〜

国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
社会精神保健研究部 野田寿恵

はじめに

 隔離・身体拘束施行者に関する唯一の全国調査は、精神保健福祉資料 (呼称;630調査) にある6月30日時点での施行者数である (図1)(文献14) 。それによると、2007年において8,247人 (全入院患者の2.6%) が隔離下にあり、前年より320人減少し、6,786人 (同2.1%) が身体拘束下にあって778人増加していた。隔離数は減ったものの、両者を合わせた数としては増加している。630調査は内容が多岐に及んでいることから、2007年のデータ公表は3年以上経過した2010年9月になされており、全国調査として貴重ではあるものの、今後の対策を検討するために利用するには速報性に欠く。施行者数のその後の動向は不明であるものの、2007年に比して明らかに減少していると断言できる人はほとんどいないであろう。身体拘束者数の増加は、精神科病院の入院患者の高齢化との関連が要因の1つとなるならば、現在さらに増加している可能性は十分に考えられる。

図1精神保健福祉資料より6月30日の隔離・身体拘束を行っている患者数の推移

 視野を国際比較に転じると、表1に示した結果になる(文献20)。日本精神科救急学会と当部らが協力して2008年に行った、救急入院料病棟の「行動制限に関する一覧性台帳」を用いた調査の分析結果では(文献23)、隔離の月当たり (月をまたいで施行した日数は含まれていない) の施行期間が10.4日、身体拘束が7.2日であった。しかしこの期間には、我が国で特有の開放観察の時間が含まれていることから、改めて2009年に6病棟の救急入院料病棟と急性期治療病棟に協力を仰ぎ、実質の施行時間を測定した。その結果は隔離で中央値224時間、身体拘束で96時間であった。隔離において1.3〜55.0時間 (オランダを除く)、身体拘束において1.9〜48.7時間で実施している各国と比して圧倒的に長いことがわかる。また施行の割合についても表1の通りの多さを示した。
 このように、隔離・身体拘束者数が今なお増加している可能性があり、かつ国際比較において圧倒的な多さで施行している日本の現状に対して、課題が山積していると言えよう。
 なお、先にあげた諸外国の報告の中で、隔離が平均16日と突出して長期に及んでいるオランダでは、施行量を10〜30%減少させることを目標にかかげプロジェクトがすすめられている。隔離・身体拘束を減少させるために、患者を中心に攻撃性や焦燥に対処方を事前に検討し、隔離・身体拘束の代替としてコンフォートルーム (当サイトに新規コンテンツとして近日掲載予定) を使用するという治療モデルを導入し、治療文化の変革を目指している(文献5)。

表1各国の隔離・身体拘束施行量との比較