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行動制限最小化に関する実践・事例報告

財団法人創精会 松山記念病院
うつ病看護認定看護師 山岡英雄

はじめに

 「行動制限を最小化にするためには、日々変化する患者の状況を、早い段階で正しくつかめていないと現実のものとならない。その為には、行動制限を最小化にしようとする意識をもったなかでの情報の共有が重要となってくる。
 しかし、行動制限を最小化にすることが推奨されているなか精神科病院では、むしろ行動制限を受けている患者が増えているという状況がある。現場では安易な行動制限が増えているのだろうか。
 「隔離・拘束14,575人/日 精神科病院の実態が明らかに」
 厚生労働省が精神科病院に関する驚くべき調査結果を公表した。この調査は、毎年6月30日時点での精神科医療施設の状況を調べる「精神保健福祉資料調査」であり、調査結果が国立精神・神経センター精神保健研究所のホームページで公開されている。http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/data.html#a1
 対策としては、全国的に行動制限最小化委員会を設置しており、日本精神科看護技術協会の調査(2005年)から推定すると、精神科を標榜している医療施設の約9割がすでに最小化委員会を設置していると予測される。
 日本の行動制限の状況の変化をみてみると、2003年の、「隔離患者数」は7741人、「身体的拘束を受けている患者数」は5109人であるが、2006年には、それぞれ8567人(826人の増加)、6008人(899人の増加)となっている。この状況を、どのように理解すればよいのか。現実問題として、この統計結果からみると我が国の精神保健に重大な問題が起きている事がわかる。行動制限最小化に向けての取り組みが急務である。
 当院の20年を振り返ってみると、平成の初期には、保護室に入室したら状態が落ち着くまでの間、対応の時間が十分にとれていない事実があった。保護室が解除になるまで半年を数える例も一部ではあるが存在していた。病状を理解し、積極的な開放に向けての取り組みは、2000年の精神科救急入院料算定病棟(以下「スーパー救急病棟」という。)立ち上げにより強化された。現状の看護実践の対応と導入前の状況を比べるデータは残っていないが、3年間のスーパー救急病棟での保護室平均在院日数【資料1】と身体拘束者数を資料【資料2】に示す。
 開放などの対応については、患者の病状にあった最適なタイミングが重要であり、そのタイミングを逃さないためには、病状の特徴を理解して関わろうとするスタッフの意識やチーム間での情報の共有が重要となってくる。今回、行動制限最小化に関する実践報告と事例について、Ⅰ:スーパー救急病棟隔離室での看護実践、Ⅱ:急性期治療病棟における身体拘束2事例を以下に報告する。

【資料1】スーパー救急病棟における過去3年間の保護室平均在院日数
  期間(2006年1月〜2008年12月)

【資料1】スーパー救急病棟における過去3年間の保護室平均在院日数

【資料2】スーパー救急病棟における身体拘束者数

期間(2006年〜2008年)
2006年(4名)  身体治療2名・自殺企図2名
2007年(4名)  身体治療3名・自傷行為1名
2008年(8名)  身体治療5名・自殺企図2名・転倒/転落1名