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第4回生活支援の真髄に迫る

 今では「生活支援」という言葉は、精神保健福祉の領域で用語として定着しており、地域生活支援センターや就業・生活支援センターなどの法内施設名にも堂々と使われています。しかし、「生活支援」の内容ほど難しいものはないと、私は考えています。

 障害による社会生活上の不自由や不利益に対し、生活全般にわたって必要な援助をすると言っても、ほとんど雲を掴むに等しい印象を受けるでしょう。理念はともかく、ソーシャルワーカーを始めとする支援者たちが、自らの軸足をどこに置くのか、実践の中で明確に意識されているだろうか。

 そして「支援」による生活の質の向上を、何をもって評価すべきだろうか。

 現在、社会復帰施設が急速に増加していますが、現場で起きている少なからぬ混乱は決して軽視できません。 精神障害者福祉に携わるすべての人々に、専門的な生活支援技術が求められています。 今回は、精神障害者への生活支援の真髄にまで迫った2人のソーシャルワーカーの実践を紹介したいと思います。

医療モデルから生活モデルへ

『生活支援〜精神障害者生活支援の理念と方法』 平成8年に谷中輝雄著『生活支援〜精神障害者生活支援の理念と方法』(やどかり出版)が出版され、地域の現場にいた私は飛びついて読んだ記憶があります。そこにはソーシャルワーカーの谷中輝雄さんを中心とした、やどかりの里の25年間の活動が集大成され、精神障害者が地域で暮らしていくための支援のあり方が整理されていました。

 同書の中で谷中さんは「従来の援助活動は医療モデルから出発していた。地域における支援活動も、病院における治療的、援助的な活動を引きずってきた歴史があった。生活支援に至って、ようやく医療モデルから生活モデルへと、その形態を整えてきたと言えるであろう。」と述べています(p.177)。

 同書に掲載された次の表は、医療モデルと生活モデルを比較したものですが、谷中さんは全国のソーシャルワーカーに、生活支援のあり方の転換を明確に提示されたのです。(p.178)


表1 医療モデルと生活モデルの比較
  社会復帰活動(医療モデル) 生活支援活動(生活モデル)
主体
責任性
かかわり
とらえ方
関係性
問題性
取り組み
援助者
健康管理をする側
規則正しい生活へと援助
疾患・症状を中心に
治療・援助関係
個人の病理・問題性に重点
教育的・訓練的
生活者
本人の自己決定による
本人の主体性へのうながし
生活のしづらさとして
共に歩む・支え手として
環境・生活を整えることに重点
相互援助・補完的