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第2回ニーズに応えるためにその1

第1回では、59才でアルツハイマー症のAさんが、「行く所がほしい」「仕事をしたい」というニーズをもって来所されたことで、保健所の精神保健相談員(現・精神保健福祉相談員/精神科ソーシャルワーカー、以下ソーシャルワーカーと記す)が、ひとまず所内で実施していたグループワーク、精神保健デイケアに入ってもらったこと、その結果、Aさんの日常生活に活気をもたらしたことを述べました。

 しかし、週3日は行く所ができたけれど、あと2日をどうするか、この課題を解決するため、その後2つの組織をつくり、施設づくりに取り組み、ようやくAさんの生活を少しずつ向上させることができました。

Aさんの住むM市の状況

 ここで、大阪府M市について少し触れておきましょう。

 M市は大阪府の中央に位置し、人口14万人。中小零細企業が多く、極めて庶民的な地域です。昭和50年代から、優れたヘルパーや保健婦(現・保健師)等の努力により、国が地域の老人保健ネットワーク・モデルに挙げる程の地域福祉活動を展開していました。

 その中で、昭和58年から痴呆性老人対策として、国が「老人精神保健相談事業」を保健所に下ろしてきました。このときM保健所にソーシャルワーカーとして配属された私は、初めて老人福祉を、中でも痴呆性老人の在宅支援を担当することになりました。

 「老人」に対しては未熟な私も、地域の一例一例を確実に支援していく老人保健ネットワークにスタッフとして組み込まれ、育てられたと思います。

Aさんをめぐる組織と施設

 さて、次にAさんをめぐる組織と施設について、その成立の過程をたどってみます。  寝たきり老人のために始まった保健所の老人保健ネットワークは、地域の福祉力を統合するくらいのすばらしい指針をもっていました。当時まだひっそりとなされていた精神保健デイケアも、痴呆性老人対策を通じて、やがて地域に見える存在になりました。

 老人と精神障害者のための各々のグループワーク事業によって、「精神障害者地域家族会」と「老人を支える家族の会」が組織され、時に連動し合いながら、各々が施設づくりへと活動を発展させて行きました。

 表1は、昭和61年当時の大阪府M保健所の主たる精神保健事業であった精神保健デイケアと痴呆性老人作業グループの、2つのグループワークの紹介をしています。

表1 大阪府M保健所精神保健事業(昭和61年当時)
事業 対象者 事業内容 開催回数 開始時期
グループワーク1
精神保健デイケア
精神障害回復途上者 28名 軽作業,レクリエーション,料理教室 週3回
(月,水,金)
10:00〜16:00
S.51.9
※1 精神障害者家族教室
グループワーク2
痴呆性老人作業グループ
痴呆性老人等
20名
軽作業,レクリエーション 週1回
(火)
10:00〜12:00
S.60.12
※2 要援護老人介護者の集い