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地域包括ケアとは何か?

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
社会精神保健研究部 伊藤弘人

はじめに

 数年前から「地域包括ケア」という言葉がしばしば議論されるようになっている。2014年4月の診療報酬改定においても、地域包括診療科や地域包括診療加算が新設された。さらに介護保険を中心とする高齢者ケアに関しては、厚生労働省から一定の方向性が示されている。わが国における「地域包括ケア」とは何か。本論では、現在の制度の内容を整理したうえで、今後求められる方向性について考えたい。

診療報酬における「地域包括診療」

 平成26年度に新設された地域包括診療科や地域包括診療加算は、これまでの診療報酬とは異なり、「患者本人が受けているすべての医療を把握する」という考え方が盛り込まれている。まず、対象が複数の疾患治療を受けている患者となっている。他の医療機関での医療を不問としている一般的な診療報酬とは異なる。また服薬管理で「受療全医療機関・全処方医薬品」を管理されていることも、特徴のある要件である。重複されている医療内容を整理することが期待されている。最後に在宅医療・24時間対応ができる医療機関という要件であり、緊急対応ができることが求められている。別の疾患で複数の医療機関を受療している住民で、処方薬剤を把握し、緊急対応ができる体制を有することが、すなわち住民の「かかりつけ医」であることが、この診療報酬を算定することに求められているのである。

平成26年度診療報酬改定 「地域包括診療科」「地域包括診療加算」(再診)
  • 対象:高血圧症・糖尿病・脂質異常症・認知症の2疾患以上(2医療機関)
  • 担当医(指定研修修了者)
  • 服薬管理
    ①計画的医学管理下での指導・診療(本人同意)、②受療全医療機関・全処方医薬品を管理(カルテ記載)、 ③院内処方・検査・院内掲示(次を除く:24時間対応薬局等・医療機関リスト共有・お薬手帳持参カルテ添付)、 ④7剤減算規定除外
  • 健康管理
    ①健康診断・検診受診勧奨・結果記録共有、②健康相談院内掲示、③敷地内禁煙
  • 介護保険相談(院内掲示)・主治医意見書作成
    次の1つ該当:①居宅療養管理指導又は短期入所療養介護等、②地域ケア会議年1回以上出席、 ③ケアマネジャー 常勤配置(居宅介護支援事業所指定)、④生活期リハ(介護保険)提供、⑤同一敷地内に介護サービス 事業所併設、⑥介護認定審査会参加経験、⑦所定の研修受講、⑧医師がケアマネジャー資格取得、 ⑨総合評価加算または介護支援連携指導料算定(病院)
  • 在宅医療提供・24時間対応(院内掲示・本人同意):次をすべて満たす
    診療所:時間外対応加算1または2、常勤医師3人以上在籍
     【「地域包括診療科」追加要件】
      ○診療所および病院(200床未満)の外来再診包括
        次は除外:時間外・休日・深夜・小児特例加算、地域連携小児夜間・休日診療料・
        診療情報提供料(Ⅱ)、在宅医療点数(訪問診療料を除く)、薬剤料(処方料・
        処方せん料を除く)、急性増悪時の検査・
        画像診断・処置(550点以上に限る)
      ○在宅医療提供・24時間対応(院内掲示・本人同意):次をすべて満たす
        診療所:時間外対応加算Ⅰ、常勤医師3人以上在籍、在宅療養支援診療所
        病院:2次救急指定病院又は救急告示病院、地域包括ケア病棟入院料または
        地域包括ケア入院医療管理料算定、在宅療養支援病院