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精神保健医療政策の最近の動向

4.考えてきたこと

 この機会に、第1回の検討会でご紹介した資料 [参考文献3] をベースに、精神保健福祉法の改正に関して考えてきたことを整理してみます。精神保健医療政策に関連して、重要なテーマに、「段差」を小さくし、なくしていく様々なメニューを整備していくことがあると考えています。図にあるように、救急・合併症医療においては、他の医療との段差をなくしていくステップアップの工夫が求められます。また入院と地域ケアとの段差をなくす中間的な枠組み(入院のステップダウン、地域ケアのステップアップ)も必要です。さらにかかりつけ医との連携を強化していかなければなりません。
 日本の精神科医療における重要な改善課題に、総合病院精神科機能の強化があります。現在総合病院精神科は縮小傾向にあり、これは多くの欧米諸国とは逆の方向性です。高齢化している精神障害者の身体合併症対策は急務だと考えています。現実的には、身体科医と精神科医とが共同できる柔軟な枠組みを模索していくことになるでしょう。その方策には、(1)地域の精神科医療資源(例:前述の地域精神保健指定医)の活用、(2)リエゾン精神看護師・コメディカルの活用、および(3)意識の高い身体科の看護師への啓発・育成・バックアップが考えられ、国立精神・神経医療研究センターにおいてもプロジェクトを開始していいます [参考文献4]。関連して、多職種によるチーム医療も、引き続き評価されていく必要があるでしょう。

【段差をなくす工夫と選択肢】
【チーム医療の評価】

 最後に、医療の質に関してです。国際的には、精神科医療の質とは何かを考える時期は過去のものとなりつつあります。精神科医療の質の要素に関する一定の合意はなされてきており、現在は、多施設で、同様の指標を持ち寄って、自院の動向を知り、これからも目標設定を行うことが、一般的になりつつあります。わが国においても、すでに「行動制限」の領域で、この活動の枠組みが開始されています。国立精神・神経医療研究センターでは、関連組織とも幅広く意見交換をしながら、精神科医療の質の向上に寄与するシステムの開発を進めています [参考文献5]。

【臨床指標を用いた「他施設との相互評価体制」* 】
参考文献
  1. 厚生労働省.「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案」とりまとめについて
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000032502.html Accessed on January 24, 2014.
  2. 厚生労働省.第7回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会資料
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000031047.html Accessed on January 24, 2014.
  3. 伊藤弘人.第1回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会資料  http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000037jdi.html  Accessed on January 25, 2014.
  4. 身体疾患患者へのメンタルケアモデル開発に関するナショナルプロジェクト
    http://mhcnp.jp/  Accessed on January 25, 2014.
  5. 医療の質の向上について
    https://www.ecodo.ncnp.go.jp/ncnp/  Accessed on January 25, 2014.