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医療計画と精神疾患

3.第5次医療法改正(2007年)と地域医療計画

 4疾病5事業は、2007年の第5次医療法改正で盛り込まれた。この時の改正のポイントには「医療計画制度の見直し」の他に、「医療に関する広告制限の見直し」「医療安全対策の推進」「医療法人制度改革」があり、どちらかというこれらの方が身近であったかもしれない。この改正で都道府県は4疾病5事業に関する医療計画の策定が求められることになった。
 4疾病の基準は、「患者数が多く、かつ、死亡率が高い等緊急性が高いため、限られた医療資源による効率的な対応」と「症状の経過に基づくきめ細かな対応が求められることから、医療機関に機能に応じた対応」が必要な疾患と当時説明されている。この優先順位の高い5疾病目に、今回精神疾患が位置づけられたのである。都道府県は、策定した医療計画に基づいた整備をする必要があるし、国はその整備を後押しする政策を打ち出すことになる。
 それでは医療計画は、どのような方向に向かっているのだろうか。2007年3月の大臣告知で示された「基本方針」は表3の通りである。これは都道府県の実務の参考として医療法改正の基本的な考え方を示したものである。「機能分化・連携」「地域において切れ目のない医療の提供」ということから、地域連携が重要なポイントとなることが理解できる。あまり知られていないが、第5次医療法改正の検討段階で、富山県砺波市での精神科地域連携の取り組みが取り上げられている(2008年10月検討会)。精神疾患を盛り込むことは見送られたが、5疾病目への道は、すでにこの頃から準備されていたとも考えられる。

表3 大臣告示

    http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0620-10c.pdf (厚生労働省)

4.今回の見直し

 今回のポイントは、(1) 二次医療圏の設定、(2) 疾病・事業ごとのPDCAサイクルの推進、(3) 居宅等における医療の充実・強化、および(4) 精神疾患の医療体制である。前2つは、医療計画の制度的改善であり、後者は在宅医療と精神疾患を追加するという事業・疾病の追加である。精神疾患の追加は、今回の見直しにおける目玉のひとつである。
 今回の見直しで、精神疾患に関する医療計画の目指すべき方向が、表4のように示されている。厚生労働省の策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(2004年)や、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(2009年)の報告書の内容と整合性のある内容である。ただし、医療の根幹となる医療法上の医療計画で明示されたことは、より大きな枠組みで精神疾患およびその医療が議論されたことを意味し、精神科医療関係者にとって歓迎すべきことであろう。
 なお、障害福祉計画や介護保険事業支援計画も並行して進んでいるが、医療計画は「医療」、すなわち病院・診療所を中心とした「医療保険」でカバーされている領域が守備範囲となる。障害福祉サービスや介護保険サービスとは「連携」という形でそれぞれの計画と整合性が図られる。

表4 精神疾患に関する医療計画のめざす方向