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医療計画と精神疾患

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
社会精神保健研究部 伊藤弘人

1.5疾病5事業とは何か

 4疾病5事業の5疾病目に精神疾患が加わることは、ニュース等で見聞きしたことがあるかもしれない。精神疾患は、がん、心筋梗塞、脳卒中と糖尿病の4疾病にならぶ疾患として位置づけられることになった(表1)。2002年の患者調査で精神疾患の受療患者数(258万人)が糖尿病患者数(228万人)を抜いて以来、精神疾患患者数は増加を続け、2008年の調査では323万人を記録している。精神疾患は重要な国民的疾患となっており、その実態への対応が医療計画に盛り込まれることになったと考えることもできる。
 精神疾患が都道府県の医療計画で策定されることになったのはそれ以上の意味があり、精神疾患への医療が新たなステージに入ったと考えている。5疾病目に入ったことが何を意味するのか、臨床がどのようにかわるのかについて、正確な情報は少ない。その理由には、これまで精神保健医療が精神保健福祉法と診療報酬(健康保険法)で規定され、改定がなされてきたことにある。医療計画を規定する医療法はあまりなじみがないであろう。
 5疾病5事業は、「医療法」が根拠となり、都道府県が策定する医療計画上で優先順位の高い疾病を意味する。各都道府県は2013年4月からの医療計画を2012年度に策定することになる。その時に精神疾患の医療計画が策定される。

表1 都道府県が策定する疾病と事業

2.医療法と精神科医療

 医療法は、医療サービスの根幹を規定する法律である。精神病床と一般病床の区分も、医療監視も、この法律が根拠となっている。精神科医療では、1985年の第1次医療法改正で、都道府県ごとの基準病床数が定められたことを覚えているかもしれない。一般医療では、その後も大きな改正が続き、特定機能病院創設(1990年第2次改正)、地域医療支援病院創設(1992年第3次改正)、療養病床と一般病床の分離(2000年第4次改正)と続いてきた。精神科医療においては、2000年の改正で検討会が組織されたことがある程度であった。

表2 「5疾病」5事業への道

71(12.01.13)