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薬剤の管理と指導に用いる評価尺度の使用例

はじめに

 近年、薬剤管理指導の業務に対して、薬物治療全体の管理・処方介入・患者さんの教育など多種多様な内容が求められるようになってきました。残念ながら薬剤師は各施設においてもっとも少人数の部署であり、前述のような業務を広く遂行するためには、薬剤師同士の連携とともに医師・看護師をはじめとするスタッフの協力が必要不可欠です。スタッフとの連携には、医療における共通言語である各検査や評価尺度の利用が有用であると考えています。今回は2010年10月29日にアップされた東邦大学薬学部教授の吉尾先生による“精神科における評価尺度”についての解説を受けて、“薬に対する構えの調査票(10項目版)(Drug Attitude Inventory-10;DAI-10)”および“薬原性錐体外路症状評価尺度(Drug-Induced Extrapyramidal Symptom Scale;DIEPSS)”について私が経験した使用例を中心に報告します。
 当院では、DAI-10およびDIEPSSを薬剤管理指導業務等で使用していますが、特にDAI-10はコメディカルが患者さんの教育プログラムでの前後に使用して薬物治療に対する考え方の変化や薬物治療に対する理解を確認しています。

1.薬原性錐体外路症状評価尺度(Drug-Induced Extrapyramidal Symptom Scale;DIEPSS)について

 錐体外路症状は精神科用剤特有の副作用と思われがちですが、実は精神科用剤以外の多くの薬剤で副作用として報告されています(表1)。従って、錐体外路症状が発現した際には向精神薬のチェックのみならず、表1のような薬剤の使用状況も確認して、錐体外路症状の増強がないかを確認することも必要です。

表1.錐体外路障害の報告のある薬剤
  薬剤 薬効
1 ブチロフェノン誘導体 ハロペリドール
スピペロン
チミペロン 等
抗精神病作用
抗精神病作用
抗精神病作用
2 フェノチアジン誘導体 フルフェナジン
トリフロペラジン
ペルフェナジン
プロクロルペラジン
クロルプロマジン 等
抗精神病作用
抗精神病作用
抗精神病作用、鎮吐、抗眩暈
抗精神病作用、鎮吐
抗精神病作用、抗不安、鎮吐
3 ベンザミド誘導体 スルピリド
チアプリド
メトクロプラミド
ドンペリドン
消化性潰瘍治療、抗うつ作用、抗精神病作用
老年期の精神興奮・問題行動せん妄、ジスキネジア治療
鎮吐、胃腸運動促進
鎮吐、胃腸運動促進
4 新規抗精神病薬
(ベンズイソオキサゾール系)
リスペリドン 抗精神病作用
(高用量での報告がある)
5 三環系抗うつ薬 アモキサピン うつ病、うつ状態
6 アルツハイマー治療薬 ドネペジル アルツハイマー病の症状進行の抑制
7 抗パーキンソン薬 レボドパ含有製剤 パーキンソン病、パーキンソン症候群(ジスキネジアを引き起こすことがある。薬剤性の錐体外路障害を悪化させることがある)
8 抗てんかん薬 バルプロ酸 てんかん、躁状態、等
9 ラウォルフィア
アルカロイド
レセルピン 降圧、抗精神病作用
10 カルシウム拮抗薬 ジルチアゼム
ロメリジン
狭心症、降圧
片頭痛
11 抗アレルギー薬 オキサトミド 各種アレルギー症状

(文献(融道男:向精神薬マニュアル:医学書院,東京,58-61,2001)を参考に著者が一部改変)

薬原性錐体外路症状を早期発見や状態把握・薬物管理するためにDIEPSSを使用していくことは大変有意義なことです。以下に具体的な症例を提示します。