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財団法人 住吉病院 精神科における薬剤師業務の取り組み

財団法人 住吉病院 薬局
宇都宮 守

はじめに

 住吉病院は、山梨県甲府市にある許可ベット数315床の精神科単科病院である。入院患者の主な疾患は、統合失調症、アルコール依存症である。当院で薬剤管理業務を開始したのは、筆者が住吉病院に赴任した1993年からである。
 当初、病院側が薬剤管理指導業務に期待することは診療報酬であり、当時の診療部長から「服薬指導って何するのですか?」と質問された際、「患者さんに薬物療法の必要性を説明して、もし副作用などが発生していれば主治医と相談して改善する仕事です。」と説明したところ、「薬剤師にそのようなことができるのですか」と言われた。当時の薬局の状態は通常の薬剤業務を行うにも支障があり、先ずは薬局の基本的な業務(調剤・在庫管理など)からすべて見直さなければいれない状態であり、かつ薬剤管理業務もやらないといけないという状況にあった。

当初の薬剤師業務

 薬剤管理指導業務を開始するに当り、先ず医局の医師たちと話し合ったところ「とにかく余計なことは言わないように、抗精神病薬は全て気持ちを落ち着ける薬と説明するように」と指示された。当時は多剤併用大量投与の時代であり、調剤することも大変だったが、病棟の患者さん達は、錐体外路障害・過鎮静・末梢性抗コリン作用など副作用が多く出現している状態だった。そんな患者に「気持ちを落ち着ける薬です。服用を正しく続けるように。」と言うのが当初の薬剤管理指導業務であった。
 このような状況の中、睡眠薬の持ち越し効果がひどい患者がおり、文書で主治医に対して睡眠薬の変更を提案したところ、診療部長から呼び出され「薬剤の変更を提案するのは薬剤師の仕事ではない。今後はその様な事はしないように」と注意されたが、当時の診療部長は薬剤管理指導業務に理解を示してくれ、あるヒントをくれた。「看護師などの他のスタッフがいる時、また目に入るような形で今回のようなことはしない方が良い、もし薬剤師として医師に提案したいのなら医師が一人の時に言うこと。そうすれば医師は意見として聞いてくれるはずです。」とこっそり教えてくれた。今にして思えばその言葉に大変励まされた。
 その後は徐々に患者に対して薬の作用の違い・副作用について説明を行っていったが、大きな問題は起きなかった。また重篤な副作用が発生している場合には、主治医に直接情報を伝え、処方の検討を依頼した。薬剤師が直接言わなくていい場合には、ベテランの看護師に頼んで看護師からの提案という形で医師に提案してもらうとう方法をとっていた。とても薬剤管理業務とはいえない状況で多剤併用大量投与に改善は見られず副作用もまだ多かった。しかしわずかであるがやりがいを感じることができた。

38(10.06.11)