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医療法人緑陽会 笠松病院 単剤化への取り組み

医療法人 緑陽会 笠松病院
谷藤 弘淳

 近年、新規(非定型)抗精神病薬の登場に伴い、従来型(定型)抗精神病薬による多剤・大量療法が問題視されている。従来型抗精神病薬の多剤・大量使用による多くの副作用の出現、そしてそのための抗パーキンソン薬、さらには便秘薬、口渇薬、尿閉薬などの様々な種類の薬を併用していたことによる患者のQOLの低下が問題になっている。 しかし、いまだに施設間などでの格差が大きく、単剤化への切り替えがなかなか進まない現状がある。  今回、当院において取り組まれてきた新規抗精神病薬中心の単剤化への動向と、薬剤師、患者のメリット、単剤化による薬剤師の役割の変化などを紹介したい。

単剤化への動向

 当院は、192床の単科精神科病院で、入院患者は統合失調症がもっとも多い。薬剤師は常勤2名で業務を行っている。

多剤・大量療法の時代

 過去、当院においても多剤・大量療法が多くを占めていた。その当時、新規抗精神病薬はリスペリドンのみで、従来型抗精神病薬にアドオン(従来型へ追加)という形で処方されていた。そのためリスペリドン本来の効果が表出しにくい状況であった。しかし当時は、それが当然の事であると見られていた。薬剤師の立場からみると、調剤の大変さ、患者の服用の困難さなどのジレンマを抱えながら業務を行っていたわけである。

単剤化へ

 その後、ペロスピロン、クエチアピン、オランザピンの新規抗精神病薬が登場し、当院での薬物療法が大きく変化した。その2001年頃から単剤処方の試みが開始された。なぜそのような単剤化の方向性へと向かったのか、それは院長、副院長らが多剤併用の問題点、海外においての薬物療法の現状などの情報を得る事により、従来型抗精神病薬の限界(陰性症状、再発予防の効果が少ない、副作用が多いなど)を感じるようになり、それが従来の薬物療法を変えるきっかけとなった。医師が自ら最新の情報を入手し、今までとは違った治療方針を実行するという決断が重要だったように思われる。  単剤化への挑戦として、まず急性期で入院する患者へ新規抗精神病薬を単剤で使用するという試みがなされ、そこで従来型抗精神病薬でみられた副作用の少なさなどを経験し、急性期への新規抗精神病薬を単剤で治療することが定着してきた。