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精神科における病棟薬剤業務

病棟薬剤業務実施の工夫について

 一番の苦労は、業務時間の確保である。加算の算定の要件として、週20時間以上の病棟業務時間が必要であるので、個々の薬剤師の業務内容を1カ月間記録、分析し、病棟業務にあたる業務を抽出して業務時間を確保した。
業務内容は、
 病棟ラウンド、フィジカルアセスメント、副作用チェック、検査データの確認、食事の様子の観察、服薬の様子の観察、患者や家族からの相談、スタッフからの相談や指導、処方提案、入院時面談、患者情報収集、持参薬管理、退院時指導、業務記録作成などである。
 病棟薬剤業務を標準化する工夫として、薬物療法チェックシート【 PDF表1(PDFファイル: 72KB)】の利用 、CP換算値、DAI-10薬に対する構えの評価尺度(Drug Atittude Inventory)【PDF表2(PDFファイル: 76KB)】、DIEPSS薬原性錐体外路症状評価尺度(Drug Induced extra-pyramidal Symptoms Scale)、フェイススケール(痛みの評価を気分におきかえて)、MMSE認知機能検査(Mini Mental State Examination)、SDS(うつ病自己評価尺度) (self-rating depression scale) などを利用している。

病棟薬剤業務の実際

 病棟で受けた相談や得られた情報は、朝礼やノートで申し送り、薬局のスタッフ全員が認識するように努めている。当院では処方箋と患者情報、薬剤管理指導記録、検査データを一緒に綴ることで、調剤時にも患者の情報を見られるようにしている。病棟カルテにもDAI-10、DIEPSS、SDS、薬剤管理指導記録を綴り、重要な事項は付箋をして情報がすみやかに伝達されるようにしている。
 現在5名の薬剤師で、月150件の薬剤管理指導、130件の病棟薬剤業務加算、高カロリー輸液の無菌製剤処理加算を算定している。
 病棟薬剤業務加算が算定可能な病棟は2病棟のみであるが、療養病棟においても、入院時薬剤管理と服薬指導、抗精神病薬のCP換算(クロルプロマジン換算)の記入による処方の適正化の支援、服薬教室、退院時指導などを行っている。

1日の業務の流れは次のようである。
8:30   朝礼にて申し送り、業務の確認
8:40   内科病棟ラウンド
          精神病棟ラウンド 急性期、薬剤変更者等
9:30   検査データモニタリング、TDM
          患者アセスメント、患者との会話から服薬指導、処方提案の必要性を検討
12:00 食事の様子等観察
14:00 注射薬無菌調整 監査
15:00 内服薬準備
          服薬指導
16:00 病棟薬剤業務記録作成
17:00 服薬指導記録作成

処方提案について

 統合失調症は病識が得られにくく、病状変化に自身が気づきにくいこともあり、再発再燃再入院を繰り返しやすい疾患である。再発防止のためには服薬の継続が重要であるが、病識の欠如という患者本人の問題と、副作用などの薬剤の問題、服薬回数が多いなど服薬の手間に関する問題があり、患者教育に加え、患者から服薬継続の妨げとなる因子を聞き取り、個々の患者の特性に合った(服薬継続可能な)薬剤を提案することが必要である。
 たとえば、服用回数が少ない薬剤への変更、持効性注射薬への変更、体重増加の少ない薬剤への変更などである。様々なリスクを考え、退院後も見据えた薬剤提案が重要である。
 検査データの確認も副作用回避のための重要な業務である。根拠と目的のある提案を心がけ、その内容は次のとおりである。

  • 持参薬の使用、代替薬に関する提案
  • アレルギー歴、副作用歴による処方変更提案
  • 禁忌薬・禁忌症による処方変更提案
  • 薬剤の相互作用による処方変更提案
  • 副作用軽減のための処方提案
  • 副作用回避のための処方提案(プレアボイド)
  • 治療効果向上のための処方提案
  • アドヒアランス向上のための処方提案
  • 処方の適正化(スイッチング含む)
処方提案例

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