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医療法人静和会浅井病院 単剤化への取り組み

医療法人静和会浅井病院
加瀬浩二 松田公子

 近年、統合失調症の薬物治療においては非定型抗精神病薬の単剤化が推奨されてきている。現に当院の急性期病棟でも、統合失調症の8割以上の患者が非定型抗精神病薬を服用している。しかし、一方で慢性期病棟では、薬剤変更による状態悪化等を懸念して非定型抗精神病薬の単剤化がなかなか進まないのが現状である。

 今回、転倒予防対策の為に非定型抗精神病薬の単剤化をチームで試み、その中で薬剤師が関わった内容を紹介したいと思う。

単剤化を行うきっかけ

 患者は平成10年に左膝蓋骨を骨折したため歩行が不安定であった。また服用している薬剤が11種類(定型抗精神病薬3剤を含む)で、クロルプロマジン(CP)換算にして1575mgを服用していたため、副作用と思われる眠気やふらつきがあった。ある日、他の患者と軽く接触した際にバランスを崩し転倒してしまうという事故が発生した。

 暴力行為があるためそれまでこの患者との関わりは消極的にならざるを得なかったが、この転倒をきっかけとして転倒予防のために処方内容を見直すことなど徐々に関わりをもつようになった。服薬指導の中で、患者から「ふらつき感が無くなるのなら薬剤を変えてほしい」、「飲む薬は少ない方がいい」等の訴えがあり、患者・医師・看護師と共に単剤化を目指したスイッチングをスタートすることとした。

症 例

60歳 男性
現病歴:統合失調症(被害関係妄想、精神運動興奮)、肝硬変、糖尿病

入院までの経緯

 35 歳時、「誰かに悪口を言われている」などの幻聴や「イライラする」などの症状が現れ、他院へ2度の入退院歴があった。その後しばらく精神状態は安定していたが、糖尿病の治療のため他院の内科へ入院し、その時に抗精神病薬が全て中止となった。その後、不穏状態を呈し当院に初診、同月入院となった。退院後、数年して症状再燃し、入院となり現在に至る。

 患者に病識は無く、幻聴に左右され、他の患者や看護スタッフに対して怒鳴り声を出したり、突発的な暴力行為に及んだりする行動があった。

抗精神病薬の選択

 患者は糖尿病を合併しているため、オランザピン及びクエチアピンは禁忌である。  次に、ペロスピロンとリスペリドンの2剤を比較して、1.液剤や散剤など患者に合った剤型が選べる事 2.エビデンスが充実している事 3.暴力行為などに対しても抑制する効果があると言われている事等の理由から、リスペリドンを主薬としてスイッチングする事とした。