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精神科専門薬剤師を目指そう(No.7-2)

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

Ⅴ.精神科専門薬剤師に必要な知識

 『精神科専門薬剤師を目指そう!』(No.7-1)では精神科専門薬剤師が対象とする疾患の内、代表的な精神科疾患として、先ず統合失調症について解説しました。今回は双極性障害とその薬物療法について解説します。

1.気分障害とは

 一般的に躁病、うつ病、躁うつ病といわれている精神障害は、DSM−Ⅳでは気分障害と呼び、躁病エピソード、双極性障害(躁うつ病)、うつ病エピソード、反復性うつ病性障害、持続性気分(感情)障害、他の気分(感情)障害、特定不能の気分(感情)障害に分類されている。双極性障害は、以前は躁うつ病と呼ばれていた疾患ですが、現在では次の3つのタイプに分類されており、躁状態とうつ状態が交互に現れる双極Ⅰ型障害、躁状態よりも症状が軽い躁状態とうつ状態が交互に現れる双極Ⅱ型障害、軽躁状態と軽うつ状態が持続的に繰り返される気分循環性障害があります(図1)。

図1.DSM−Ⅳ

DSM-IVによる分類

 双極性障害の生涯有病率は約1%前後であり、遺伝的負因の関与、神経伝達の異常、ストレスなどが病因と考えられています。双極性障害の遺伝子を特定したとの研究報告もありますが、確定したものはありません。
 双極性障害では、気分と活動性の水準が著しく障害されるエピソードを繰り返し、気分の高揚とエネルギー、活動性の増大を示す場合(躁状態)と、気分の低下とエネルギー、活動性の低下を示す場合(うつ状態)があります表1)。

表1.躁状態とうつ状態
躁状態 うつ状態
  • 気分の高まり
  • 自信にあふれ誇大的となる
  • 睡眠時間が少なくても大丈夫
  • 多弁となる
  • 考えがあちこちに飛ぶ
  • 注意力・集中力が障害される
  • 活動性が増加する
  • 性欲亢進
  • 抑うつ気分
  • 興味や喜びを感じない
  • 食欲減退や増加(体重減少及び増加)
  • 不眠(過眠)
  • 言動に焦りがあり、極端に遅くなったりする
  • やる気が起きず、疲れやすくなる
  • 自分を否定的に評価する
  • 集中や決断力の低下
  • 死にたくなる
  • 特に朝ゆううつ
  • 体の痛み
  • 性欲減退