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精神科専門薬剤師を目指そう(No.2)

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

Ⅱ.精神科医療におけるチーム医療と地域医療連携(薬剤師の立場から)

 精神科専門薬剤師の概要については前述した通りですが、この専門性はチーム医療の中で薬剤師業務を機能させる上で大変重要となり、地域連携での役割は今後益々増加するものと考えられます。

1.アドヒアランスの向上と薬剤師

(吉尾隆:アドヒアランスを高めるための薬剤師の役割―医師との連携を中心に.服薬アドヒアランスを重視した治療.Schizophrenia Frontier.メディカルレビュー社;2006,p29-34)
 薬物アドヒアランスを高めるには、医師および患者・家族双方に対して薬物治療に対する適切な支援が必要となります。統合失調症患者に対しては、特に薬物治療の評価(効果と副作用を含む)と自覚的服薬体験に対する働きかけが重要となります。統合失調症の薬物治療に係わる時に最も重要なことは、”薬を飲ませる”ための係わりではなく、”薬が飲める”ようになるための係わりです。つまり、患者が実行可能な治療であることが必要です。統合失調症患者の再発の原因は様々な理由による服薬の拒否(断薬や不規則で不十分な服薬)であることが多いことが判明しています。薬剤の効果や副作用の対処法に関する情報が不十分であるために服薬が適正に行われていないことが考えられ、これらの情報を医師と共有する必要があります。また、服薬拒否に関する問題として医療側の問題、副作用の問題、多剤併用大量投与の問題、自覚的薬物体験の問題などが挙げられます。患者は医師との信頼関係を大切にしており、医師の指示通りに服薬をすることが重要と考えています。しかし、実際にはノンコンプライアントが多く、医師が考えている以上に服薬がされていないことも報告されています。薬物治療に関し、自らの問題を語ることができないでいる患者が多く、薬剤師はセカンドオピニオンとして医師―患者間の薬物治療の調整役として機能すること、つまり、治療に際し患者―医療者間の人間関係の調整役となることが求められます。

2.アドヒアランスを障害する問題

(吉尾隆:コンプライアンスを高めるために薬剤師ができること.特集薬物療法のコンプライアンスを高めるために.臨床精神医学 35(1):43-50,2006)

1)医療側の問題

 精神科医療は長い間患者を施設内で処遇することに重点を置き、薬物治療の目的は鎮静となり、社会復帰を促進することに消極的でした。現在、精神保健福祉法の下、また、新たな薬剤による効果的で副作用の少ない薬物治療により退院を促進し、地域でのケアを充実させることに重点が移りつつあります。このような状況の中にあっても患者から医療側に対する問題として、薬物治療の問題が数多く挙げられています。服薬拒否に関する問題として、主治医に薬物治療に関する訴えをすると返って薬の量が増えてしまい、あるいは文句があるのなら他の医者を捜せば良いと言われてしまうので相談できないといった訴えが多く聞かれます。

 図1 医師に対する不満

医師に対する不満