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精神科専門薬剤師を目指そう(No.1)

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

Ⅰ.専門薬剤師

 日本病院薬剤師会では、がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師の認定を始めています。次の専門領域として精神科専門薬剤師、HIV専門薬剤師、妊婦・授乳婦専門薬剤師などの認定のための準備に入っています。専門薬剤師には各領域における薬物療法のエキスパートであると共にその領域における臨床的、教育的な指導者であることが求められています。

1.認定薬剤師から専門薬剤師へ

 がん領域では国の政策として実施されている“がん治療均てん化政策”により、年間約300名の薬剤師に対してがん治療拠点病院における3ヶ月間の研修を行い、がん薬物療法に精通した薬剤師の養成が開始されました。がん専門薬剤師となるためには、この3ヶ月の研修を受けることが必須となりますが、研修修了者に対して、日病薬が行う一定時間の講習の受講と試験に合格することで“がん薬物療法認定薬剤師”として認定することとなりました。“がん薬物療法認定薬剤師”を取得し、その上でがん領域に関する学会発表や学術論文があることなどを条件として、がん薬物療法認定薬剤師よりも専門性の高い試験を実施し、これに合格することで“がん専門薬剤師”として認定されることになります。
 したがって、がん領域以外の認定制度も同様の構造となり、一般薬剤師から認定薬剤師、そして専門薬剤師へとステップアップしていくこととなります(図1)。

図1.専門薬剤師の認定モデル

専門薬剤師の認定モデル

2.精神科における薬剤師の専門性

 精神科領域において求められる薬剤師の専門性とは、精神疾患、向精神薬、精神保健福祉などに関する知識とその知識を臨床薬剤師業務に反映する技術です。精神科医療においては、薬物治療のみならず、精神分析や精神療法といった人間の精神(こころ)に働きかける治療法もあり、カウンセリングの技術を取得することが精神科の専門性と勘違いしている薬剤師もいますが、薬剤師の専門性は薬物治療における専門性です。したがって、精神科医療全体を理解した上で、適切な薬物治療を支援するための専門的な技術が求められます。また、精神科医療においては特にチーム医療が重要であり、このチーム医療における薬剤師の役割は、医師の処方設計への関与、効果・副作用・相互作用等のモニターなどの薬学的ケア、看護師を始めとした医療スタッフへの薬剤情報の提供などがあります。そして、精神科チーム医療の特徴として患者やその家族も含めたチーム医療という視点が今後益々重要となってきますので、薬剤師は薬物療法に関する情報提供の専門家でなくてはなりません。