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リスクマネージメント1

ごあいさつ

 今回より「教育・研修:精神科薬剤師の業務」のコーナーを担当致します,桜ヶ丘記念病院の吉尾隆と申します。どうぞ宜しくお願い致します。
 近年,精神科における薬剤師業務もようやく医療スタッフや患者さんから認知されるようになり,その業務は,薬局での調剤や製剤から病棟での臨床薬剤業務や医薬品管理業務まで大変広範囲になってきています。そして,このような状況の中で精神科領域における薬剤師の役割はますます重要なものとなっていくと考えられます。本コーナーでは,「精神科薬剤師業務のリスクマネージメント」「精神科薬剤師業務における業務連携」「精神科薬剤師業務の服薬指導」などについてご紹介し,精神科領域でより良い薬剤師業務の構築の参考となることを望んでいます。

はじめに

 医療事故の発生は、大きな社会問題となっています。米国における1997年の医療過誤による死亡者の推計は約44,000〜98,000人と言われており、全米における死亡順位の8番目となっています。これは自動車事故による死亡者数43,458人を上回る数字です(図1)。また、この内、薬物療法による死亡者数は約7,000人以上で労働現場における事故による死亡者約6,000人を上回っています(図2)。国内においても、多くの医療過誤が報告されており、これらの数字から多くの医療過誤が生じ,そのうちの多くが薬剤に関連したものであることが推測されます。この様な現状を踏まえ,今回は精神科薬剤師業務のリスクマネージメントについて解説致します。

  • 図1
    米国における死亡者数
  • 図2
    薬物療法による死亡者数

 現在、薬物療法や医薬品管理に対する薬剤師の役割が各方面において論じられており、処方設計に対する参画や、病棟における注射薬を始めとした医薬品の管理 に対する薬剤師への期待は大きくなっていると言えます。このことは,病院機能評価の薬剤関連項目や行政の総合薬事指導の教科などにも顕著に表れています。 今回は、日常業務の中にあるエラーの原因とその対応、処方、調剤、投薬の管理、モニタリング、システムと運営管理などについて、精神科薬剤師業務のリスク マネージメントという観点から検討してみたいと思います。