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服薬指導4 神経症・心身症1

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

Ⅲ.神経症・心身症の薬物療法と服薬指導

 神経症は心因性精神障害と考えられており、不安神経症、心気神経症、強迫神経症、ヒステリー、恐怖症などでは不安、焦燥、抑うつ、不眠、自律神経症状などが主症状となります。心身症は、身体疾患のなかでその発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態を指し、神経症やうつ病などの他の精神障害に伴う身体症状は除外されます。しかし、その訴えは、通常の身体症状であり、その出現や訴えの強弱が心理的因子に影響されていると考えられ、身体症状を主とする神経症は心身症と重複します。心身症として管理が必要な疾患としては、慢性胃炎、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、気管支喘息、過換気症候群、本態性高血圧症、低血圧症、狭心症、月経障害、緊張性頭痛、書痙、自律神経失調症、更年期障害、眼精疲労などがあります。また、身体症状を前景とするうつ病を軽症うつ病または仮面うつ病といい、身体的な症状として倦怠感、疲労感、食欲不振、悪心、口内の苦み、便秘、睡眠障害、肩こり、不定な痛み、頭痛、頭重感、めまい、しびれなどが多くみられます。うつ病と異なり、精神症状は一見明らかにみられず、睡眠障害、食欲不振、倦怠感などが中心症状となります。

1.神経症・心身症における薬物療法

 神経症・心身症には、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬のなどが中心に使用されます。身体化患者に対しては、不安感情とうつ気分が共通して存在するため、抗うつ薬と抗不安薬が併用されます。不安発作(Panic disorder)の発作予防にはSSRI(現在国内で使用できるのはフルボキサミン、パロキセチン)や三環系抗うつ薬(イミプラミンやクロミプラミン)が有効です。予期不安や2次性回避行動に対しては抗不安薬(アルプラゾラムやクロナゼパム)が有効です。強迫性障害ではセロトニン再取り込み作用の強い三環系抗うつ薬(クロミプラミン)やSSRIが使用され、抗不安薬(ブロマゼパム、ロラゼパム)も使用されます。不安、抑うつ状態では抗不安薬、抗うつ薬の他にスルピリドや睡眠薬が使用され、漢方薬(柴胡加竜骨牡蛎湯、加味帰脾湯、加味逍遙散など)が併用されることもあります。摂食障害では必要に応じて抗不安薬、抗うつ薬、ビタミン剤、消化器系薬剤を使用します。過食症には特にSSRIが有効であるとの報告があります。不眠に対してはベンゾジアゼピン系の薬剤が汎用されますが、不眠のタイプと薬剤の最高血中濃度到達時間、半減期等により使い分けます。また、アザピロン系薬は、現在国内ではタンドスピロンのみ使用可能ですが、心身症の身体症候、および抑うつ、恐怖、不安、焦燥、睡眠障害等の精神症状に改善効果があるといわれています。抗不安効果はジアゼパムとほぼ同等で、鎮静効果が少ないことが特徴で、依存性がみられないことも重要な特徴です。