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服薬指導3 気分(感情)障害2

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

2)うつ病における服薬指導

(1)うつ病患者の特徴

 うつ病患者では、興味、睡眠、食欲、性欲などが低下しており、場合によっては妄想や希死念慮をともなうといった特徴があります。また、うつ病になりやすい性格としてクレッチマーの循環気質、下田の執着気質、テレンバッハのメランコリー性格などがあげられます(表4)。うつ病の原因として患者の性格や家族、生活環境などがあげられますが、うつ病は現在では、脳内における情報伝達機能の異常であることが判明しています。したがって、うつ病はかならず治る病気であるということを保証した上で接する必要があります。

うつ病になりやすい性格
クレッチマーの循環気質 社交的、親切、善良、静か、落ち着いている、気が弱い、陰うつ、他者優先的・依存的
下田の執着気質 仕事熱心、几帳面、凝り性、徹底的、正直、熱中性、持続性、ごまかしができない
テレンバッハのメランコリー性格 几帳面・勤勉、誠実、円満な対人関係、強い義務感・秩序性
(2)うつ病患者の患者に対する服薬指導

 うつ病患者に対しての服薬指導では、うつ病は必ず治る病気であることを保証した上で、服薬指導を行います。三環系の抗うつ薬では効果よりも先に副作用が前景に出てしまうことが多いため、副作用に関する説明を十分に行う必要があります(抗うつ効果の発現までに2〜3週間かかることがある)。また、睡眠や食欲の障害は1〜2週間位で改善しますが、十分な抗うつ効果が得られるまでには3〜4週間かかり、概ね服薬は6ヶ月以上を想定して治療を開始することなど説明しておきます。服薬に関して重要な注意として、三環系抗うつ薬は大量服用すると死亡することがあるため、1度にまとめて服薬しないように注意を行う必要があります。特に病相の転換期には希死念慮が強くなることがあると言われており注意が必要です。

 患者の訴えをよく聴くこと、患者の立場を支えること、病気に対する不安や恐怖を和らげ安心や自信を保証することは、うつ病患者に対する基本的な接し方であり、励ましたり、気休め的な態度は患者にとって有益ではないことを理解して服薬指導に当たる必要があります。病気に対して患者自身が正確な認識を持っていない場合も多く、病気が治らないのは自分が悪いなど自責的になっていることもあります。服薬指導の際には、うつ病は病気であること、薬物療法により治療が可能なこと、無理をしないことなどを伝える必要があります。