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服薬指導1 統合失調症

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

はじめに

 精神科における治療的立場は様々ですが,薬物療法は治療の基本であり、QOLを大きく左右するため安全で効率的な薬物療法の実施が必要となります。長期に渡って向精神薬を服用する場合が多く、副作用、相互作用、重複投与などのチェックのために薬剤師の関与は不可欠です。特に、統合失調症患者の薬物療法の主体となる抗精神病薬は、患者さんの疎通性を改善し社会適応能力を向上させますが、副作用である過鎮静、自律神経症状、錐体外路症状等はコンプライアンスを低下させ、社会生活を著しく阻害してしまいます。患者さん自身が様々な副作用を回避し、あるいは副作用が発生した場合においても的確な対処行動(coping)が可能になることが重要と考えられ、精神科における服薬指導は、服薬教育として捉え、繰り返し薬剤に関する情報を提供することが、服用薬に関する知識の増加と、服薬の継続に対するモチベーションを向上させ、服薬の中断と再発予防に有効であると考えられます。今回は、精神科薬物療法と服薬指導について解説します。

Ⅰ.統合失調症の薬物療法と服薬指導

1.統合失調症における薬物療法

 統合失調症の薬物療法の主体は抗精神病薬であり、近年発売された新規(非定型)抗精神病薬は今後統合失調症の薬物療法の主体となると考えられます。更に、これらの薬剤は単剤で使用することでその有効性が最大限発現されると言われています。しかし、わが国における統合失調症の薬物療法では、依然、多剤併用大量投与が多く見られ、抗精神病薬同士の併用のみならず、抗パーキンソン薬、抗不安薬、睡眠薬、感情調整薬なども併用される場合が多く、我々薬剤師が患者さんに処方の説明を行う際、大変苦労する点です。処方せんに記載された薬剤が抗精神病薬1〜2剤、抗パーキンソン薬(以下抗パ薬)1剤程度であれば、処方内容について説明することは比較的容易です。しかし、我が国における多くの処方調査からは、向精神薬で抗精神病薬が2〜3剤、抗パ薬が1〜2剤、睡眠薬1〜2剤、内科系薬で1〜2剤、合計7〜8剤という処方が平均的なようです。

文献:1,2,3,4