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業務連携3

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

Ⅱ.地域における連携

 精神科病院における連携は、地域での連携へと連続的に繋がっていくことが理想的です。精神科医療において薬剤師業務の連携を考えてみたいと思います。現在、国内においても地域における支援体制システムとして、アサーティブ地域療法ACT(Assertive Community Treatment)による多職種による強力な支援が開始されています。

1.地域精神科医療

 ここで、地域における精神科医療の連携のモデルとして、英国における精神科医療を紹介します。

1)英国における精神科医療

 英国では現在、基本的に単科の精神科病院はなく、精神科病床は総合病院の1診療科として機能しています。また、精神科医療は個々の病院が単独で行うのではなく、National Health Service(NHS)とのTrustで地域ごとに行っている点が日本とは大きく異なります。

(1)英国における地域精神科医療

 地域における精神科医療はNational Health Service(NHS)とのTrustによりCOMMITTEE MENTALHEALTH CENTERを中心に医療チームを編成して行われています。1チームで約20名のクライアントをサポートし、精神科医、薬剤師、看護師、ソーシャルワーカー、心理士、作業療法士等のスタッフにより構成されています。さらにこのチームは、家庭医General Practitioner GPとも連携して活動しています。

(2)英国における精神科薬剤師の役割

 英国においては、精神科専門薬剤師の養成が行われており、薬学部を卒業後さらに1〜2年の精神科薬学の専門教育を受けて専門薬剤師となります。精神科専門薬剤師は、National Health Service(NHS)Trust全体での医薬品使用に関するアドバイスと医薬品の供給、医療チームに対する臨床的な情報の提供を行い、入院中の患者には特に急性期には1日1回訪問し、薬物治療のモニターを行い、薬歴をまとめます。また、週に一回のミィーティングでは、治療薬の決定に直接係わり、看護師、作業療法士等に相互作用や副作用の情報を提供しています。さらに、スタッフのトレーニングを行うことも重要な役割であり、看護師やジュニアドクター等の病棟におけるトレーニングでは、新規抗精神病薬やsedationに関するガイダンスも行っています。また、患者さんや利用者が十分な薬剤情報を入手しているか等についても常に調査しています。EU圏内では薬剤に関する使用上の注意を開示する必要があり、文書のみではなく口頭でも情報を伝えていますが、精神科専門薬剤師はPHARMACY ADVISORY COMMITTEEにおいて精神科における薬物治療の解説書を作成し医療チーム内において共有しています。