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業務連携2

桜ヶ丘記念病院
吉尾 隆

4)多職種連携による処方管理

 統合失調症における薬物療法は、新しい抗精神病薬(非定型抗精神病薬)の登場により変化しつつあります。従来型(定型)抗精神病薬による多剤併用大量療法は、多くの副作用を引き起こし、薬原性錐体外路症状や過鎮静は統合失調症患者のQOLを著しく阻害し、その結果、リハビリテーション等の社会復帰プログラムの効率を低下させる結果となっています。このような状況を改善するためには、新たな治療コンセプトによる薬物療法(表1)が必要で、医師のみならず、患者、医療スタッフによる連携が必要となります。統合失調症患者の薬物療法を、多剤併用大量療法から非定型抗精神病薬の単剤処方まで、患者・医療スタッフの連携により処方変更した事例を紹介します。

表1.治療コンセプトの違い
多剤併用大量療法と新薬による単純な処方の背後にある治療コンセプトの違い
  多剤併用大量療法 新薬による単純な処方
治療の場 入院中心 地域中心
薬剤情報 主治医が独占 関係者との共有
治療方針の決定 主治医中心
横断的治療情報
管理優先
関係者との共同
縦断的治療情報
自覚的薬物体験の重視
至適用量の目安 副作用出現 機能改善
治療目標 精神症状改善 回復促進と本人の自己実現

藤井康男:臨床精神薬理Vol.4.No.10. 2001

<症例>
患者:M.S.氏 63歳 女性 統合失調症  10代で発病し、現在まで治療が継続されている患者である。これまで不規則な服薬や拒薬により再発し、入退院を数回繰り返していたが、当院入院前は社会復帰施設において生活していた。病状としては時に衝動行為、幻聴等があり最近では欠陥状態を中心とした人格水準の低下が目立っていた。ここ数年間は、精神症状はある程度安定しており、ADLも良好であったが、外出時に転倒を繰り返し危険なため、施設職員が嘱託医に相談した結果、処方の調整が必要であり、又、長期に渡り大量の抗精神病薬を服用していたことから、入院し薬剤の減量及び変更を行うこととなった。