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インタビュー「精神保健福祉法改正案」のチェックポイントと精神障害者を含めた地域包括ケア・システム実現に向けて


第7次医療計画では多様な精神疾患ごとに医療機能を明確化

図表3 多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築に向けた医療機能の明確化について1 図表4 多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築に向けた医療機能の明確化について2

出典:障害福祉関係主管課長会議 精神・障害保健課資料(平成29年3月8日)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/seishin01.pdf

――精神疾患が医療計画に追加されたのは2013年からですが、2018年から第7次医療計画がスタートします。そこでは、多様な精神疾患ごとに各医療機関の医療機能の明確化が進められますが、同時に精神障害者が地域の一員として、安心して自分らしい生活を送れるよう、「精神障害者にも対応した地域包括ケア・システムの構築を目指す」と明記されています。精神疾患に限ったことではありませんが、厚生労働省は医療計画、障害者福祉計画、診療報酬、介護保険事業計画、精神保健福祉法等、様々な制度を組み合わせて誘導し、2025年に向けた地域包括ケアの基盤整備を進めることを考えているのでしょうね。

横井:私は医療計画と連動させ精神保健福祉法改正を検討すべきと考えるのですが、精神科系医療機関が地域包括ケアを進める上での最大の課題は、精神障害者の高齢化に伴う合併症の併発への対応と、地域福祉や介護サービスと、いかに円滑な連携体制を構築出来るのかに尽きると思います。現状では、高齢化に伴う精神障害者の認知症併発や合併症に対応する基盤整備が、各地域で十分に出来ているとは未だ言えません。
 連携をスムーズに進める前提として、医療計画で多様な精神疾患ごとに医療機関の役割分担・連携を推進し、各医療機関の医療機能を明確化することが喫緊の課題です。
 多様な疾患には統合失調症、認知症、うつ病、躁うつ病、児童・思春期精神疾患、精神科救急、自殺未遂、身体合併症、てんかん、医療観察等の15領域で、極めて精緻に医療機能を細分化して、各二次医療圏で必要な機能が検討されることになります。
 従来の医療提供体制では、精神科や心療内科等という、ざっくりとした標榜科目の中で統合失調症もうつ病も、心身相関疾患も診る形でした。医療計画で医療機能の明確化が進展すると、将来的に地域住民や連携先医療機関、福祉・介護サービス事業所等も、各自治体のホームページを検索すると、どこに行けば適切な治療を受けられるのか、どの医療機関と連携すれば適切、かつ効率的なサービス提供が出来るのか等の「見える化」が進められます。一方、精神科系医療機関は自院の機能や役割を地域で積極的に「広報」し、適切な受診や連携に結びつけることが求められていくでしょう。

――精神科系医療機関が地域包括ケアを構築する上では、多職種連携やアウトリーチを円滑に実施することも要求されますね。

横井:精神科医療施設も各地域で多職種連携が必要不可欠ですが、精神科領域の特徴としてダブル・ライセンスを持っている専門職が比較的、多いことです。看護師の中にPSWの資格を持っていたり、今年から制度化される公認心理士の資格を取る人たちも多々、おります。他の診療科領域に比べ、お互いの専門職種を理解し合える部分が多いので、多職種連携を進め易い環境にはあるのかもしれません。
 廃案になった改正案も地域で多職種連携を進めるという点では、同ガイドラインの内容等を見ても評価出来る部分は少なくなかった。ただ、私は2017年の法案が修正されないまま国会を通過し、制度化されれば精神障害の方々への「偏見の助長」が避けられないから、賛成できなかったわけです。