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インタビュー「医療機関のホスピタリティ・マインドアップ研修の実際」 


株式会社JAPAN・SIQ協会 専務取締役・事務局長 米谷 侑子先生
(聞き手:医療ジャーナリスト:冨井 淑夫)

「人的」よりも「技術的」サービスの優先順位が高い「医療・介護」事業

――米谷先生の「JAPAN・SIQ協会」では一般企業と「医療・介護」施設、両方のサービス接遇教育やコミュニケーション能力向上研修等を手がけておられますが、一般企業と病院のサービスに関する考え方の違いから、お話を伺いたいと思います。

米谷:私たちは大きく分けて、①運輸②ホテル・旅館業③物品販売④(調剤も含む)医療・介護――の4つの業種で教育・研修を行っており、各業種毎にオーダーメイドの研修システムを構築しています。サービスについては、大きく人的サービスと技術的サービスの2つに分けられます。医療機関の場合は、やはり患者さんのニーズとして、「安全・安心」の優先順位が最も高いことから、技術的サービスのウェイトが高くなります。「高い医療技術」を前提として、初めて人的サービスの向上が求められるわけです。例えば、口の悪いドクターであっても、確かな技術に裏打ちされた「質の高い」医療が提供されれば患者さんに選ばれます。多少、接する態度が厳しくても、患者さんは適切な生活指導をして下さる看護師さんを望みます。それに比べて、一般企業の場合、「技術的・人的サービス」の優先度の割合はほぼ同じ程度の割合です。医療機関と比べて、お客様の「選択肢の幅」は一般企業の方が広いようにも感じています。

――業種によって「技術的・人的」サービスの優先度合いは違うのですね。

米谷:分り易い例として、銀行の場合、預金や貸し出し、資産運用等、各部門によって業務は異なりますが、窓口業務の場合、出金や預金等、お客様へのスムーズな金銭のやり取りや指導が、中心となるわけです。窓口担当者の業務に落ち度はなかったとしても、その人の第一印象や態度、説明の仕方等をお客様が良くないと感じれば、お客様は担当者が信頼出来なかったり、些細なことからクレームが発生したりもするのです。お客様の側が、技術的サービスよりも人的サービスに重きを置くのは、一般企業の場合、よく見る光景です。ブティック等の場合は、明らかに人的サービスの優先順位が高く、販売員の接客態度に左右されます。「お客様の似合う洋服を選ぶ」のも技術には違いないのですが、説明の仕方や印象等の人的サービスに負う部分が大きいと思います。ただ第一印象とは、受け取る側の好みや価値観によって異なります。要するに、技術とは余り関係なく、その人を見た瞬間のイメージで決まることが多いので、対応が難しいのです。

――病院と同様に技術的サービスを重視する業種とは?

米谷:私たちが研修に関与している領域では、やはり鉄道や航空、バス等の運輸業が近いように感じます。運輸業は言うまでもなく「安全管理」に最大のインセンティブを置いています。重大な交通事故が起こった場合、お客様は自分で防ぐ手立てがなく、事業者に安全・安心を委ねるしかない。病院で発生する医療過誤も同様で、患者さんが自力で回避出来るものではありません。更にホテル・旅館業にも共通する要素があり、「運輸」、「ホテル・旅館業」、「医療・介護」施設の3業種は、「安全第一」という視点から、「技術的サービスへの期待感」が最も高い業種であると考えられます。

図表1 サービス接遇研修