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インタビュー「大変革の時代!社会福祉法人改革の全容と、その対応策を探る」 


新経営サービス清水税理士法人代表社員・税理士、医業経営コンサルタント:田中 一実先生
(聞き手:医療ジャーナリスト:冨井 淑夫)

変革を求められる「改正社福法」が2017年4月より施行

図表1 社会福祉法等の一部を改正する法律

出典:厚生労働省「社会福祉法人制度改革について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000155170.pdf

――社会福祉法人制度を大きく改革する法案(改正社会福祉法)が2015年4月に国会へ提出され2016年3月31日に成立、2017年4月1日から(一部の条文は2016年から)施行されました。精神科系医療施設の中には、系列の社会福祉法人(以下、社福)で障がい者・高齢者福祉事業等を展開するところも少なくはありません。これまで以上に厳格な運営を求められる社福改革へ、どのような対応をすべきか?最初に今回の社福改革の議論がスタートした背景から、お話し頂きたいと思います。

田中:最初の構造改革としては、2000年に社会福祉事業法が社会福祉法に改正され、従来の措置制度から公的介護保険制度の導入により、民間企業や医療法人等、社福以外の事業体も介護・福祉事業に参入可能となりました。その当時から現在まで、民間が実施する介護事業等は課税されるのに社福は非課税でした。事業税だけでなく、法人税や固定資産税、不動産取得税等も非課税であり、多くの専門家から「イコール・フィッティングではない」との指摘がなされたのです。そして、もう一つは、2002年の閣議決定により始まった公益法人制度改革です。公益法人の「公益性」に焦点が当てられましたが、この議論の中で同時に社福の「公益性」が問われるようにもなったのです。

――税制優遇措置のある社福に、「公益性」が本当に担保されているのかが疑問視されたのですね。

田中:更に、近年マスコミで一部の社福の不祥事や不正等の諸問題が発覚し、大きく取り上げられるようになりました。社福全体から見ると“氷山の一角”だと思うのですが、国民の中にも社福に対するマイナス・イメージが定着することとなりました。

――確かに経営の私物化や放漫経営の事例等は、どこの業界でも見られることですが、一部、新聞等が社福に対してネガティブ・キャンペーンを展開したこともありましたね。

田中:国民世論の後押しで社福改革の機運が高まり、厚生労働省も改革の必要性に迫られたと思います。付け加えると税制面の優遇措置だけでなく、社福が行う事業には国の補助金が投入されていますし、「公益法人以上に公益性を担保する必要がある」と考えられたのです。また、公益法人における新会計基準導入の動きに合わせて、2012年から社福に対しても非常に厳しい新会計基準の適用が始まりました。これら一連の流れの中で、今回の社福改革が始まったわけです。
国は税制優遇や補助金投入等による社福の余裕財産は「公金」と考えています。「公金」である以上、極めて厳格に運用すべきと言うのが基本です。

図表2 社会福祉法人制度の改革(主な内容)

出典:厚生労働省「社会福祉法人制度改革について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000155170.pdf