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療養病床の行方と介護療養型等から転換する「介護医療院」の全容

医療ジャーナリスト:冨井 淑夫

新類型は「介護医療院」に決定  前改定の「療養機能強化型」と連動

 2016年12月に厚生労働省の第7回社会保障審議会・「療養病床の在り方等に関する特別部会」が開催され、廃止か病床転換の期限が2017年度末に迫っている介護療養病床に替わる施設の新類型の在り方の議論や、経過措置の内容等が明らかになった。

 新類型のイメージに関しては、2016年、初めから既に公表されてはいたのだが、「何れも医療区分Ⅰを中心とした長期の医療・介護を必要とする人が対象」で、厚生労働省は「医療区分Ⅱ・Ⅲ」の患者を対象とする医療療養病床(20対1)とは、“すみ分け"を図っていく方針。正式名称ではないが、2017年に入ってからの議論で「介護医療院(仮称)に決定」と報道された。何とも抽象的で、国民にはイメージが伝わり難いネーミングだ。

 介護医療院の全容に触れる前段として、2015年の介護報酬改定時、長年に亘り介護療養病床を有する病院を運営し、医療団体の要職も兼務する医療法人理事長に筆者が取材した内容の一部を紹介したい。前改定では「機能に応じた評価」として「療養機能強化型A・B」を新設、看取りやターミナルケアの長期療養や喀痰吸引、経管栄養等の実施出来る施設が重点評価されることになった。具体的には5つの算定要件が示され、入院患者のうち重篤な患者の割合や、ターミナルケアでの対応の度合いによりA・Bの二区分に分類、高ランクをAとした。当時の取材は「同強化型」新設に係る内容が多くを占めた。

Q(筆者)・「同強化型」新設で今後、介護療養型はどうなっていくのか?
A(理事長)・今後、介護療養型も「同強化型A・B」と通常型の3つの体系に分かれていくが、通常型を選択した介護療養型の病院は近い将来、介護療養型老人保健施設への移行を余儀なくされると思う。一方、同強化型A・Bを選択した施設は恐らく、「従来の医療施設ではない新しい施設体系」に移行していくのではないかと推測する。また。「同強+化型」で提示された認知症合併症、医療処置、ターミナルケア、リハビリ、地域貢献活動の5つの要件を全てクリア出来る施設に対し厚生労働省は、通常型よりも「高く評価する」とのシグナルを送っているようにも受け取れる。

Q・「同強化型」は看取りに対応する機能整備が不可欠と思われるが?
A・(15年)介護報酬改定で介護療養型に「ターミナルケア加算」が新設されたのは、厚生労働省が「看取りをする場所」として認知したとのメッセージとも受け取れる。もともと、介護療養型医療施設の多くはターミナルに対応してきた経緯もあり、既にその体制の備わっている施設も少なくない。ターミナルケアに係る計画の作成も求められていることから、医療現場でターミナルケア・プランの考え方が必要になる。

Q・従来の介護療養型医療施設間で、「医療の質」による競争が促されるのか?
A:前述3つの体系でも当然、介護報酬で差が付けられるし、ステータス(格)という点からも介護療養型に替わる施設の中で差別化は進むだろう。横並びではなく患者側から「選別される」時代は、間違いなく到来する。

 前出・特別部会で明らかになった新類型の内容を見ても、同理事長が2年前に予測したことは、概ね当たっていると思う。新類型・介護医療院の中身を見ていくことにする。