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(事例研究レポート)人材開発イノベーション
  〜「医療の質」向上につなげる教育・研修技法

[ケース2] 医療事故からの信頼回復目指し、「医療倫理と安全」のワークショップ

 次に紹介するのは、数年前に医療事故でマスコミが取り上げたことのある大学病院の事例。B大学ではこの事件への反省から、組織を上げての信頼回復を目指すべく、医療スタッフへの倫理観の醸成を目的として、数年前から「医療倫理と安全のワークショップ」をスタートさせた。
 B大学は幾つかの附属病院を運営しているが、各病院から医師、看護師、薬剤師、検査技師、事務職等、多職種のスタッフ10人前後のグループを構成。以前に起こった医療事故の経過説明を踏まえて、各々のグループで勤務する病院の課題をディスカッションし、グループ全体としての意見をまとめ、ワークショップ形式で互いに発表する。
 各グループから提出された意見は、作業部会で取りまとめを行いトップに報告し、改善可能なものについては速かに改善を図る。同ワークショップは既に30数回開催され、延べ2000人以上のスタッフが参加。医療倫理と安全に関する意識付けが徐々に図られていった。
 もう一つの柱として、同大学では「若手リーダーシップ養成プログラム」の実施をスタートさせた。同プログラムは米国著名大学・ビジネススクールの「リーダー養成コース」等を参考にして企画されたもの。要するにアメリカでは商品の品質の違いは、各企業のリーダーやマネジャーの差異によって発生するという考え方が根強くある。このプログラムでも医療サービスの品質格差はリーダーの差によって、歴然と表れるとの仮設をベースにしている。プログラムの対象者は中堅の医師や看護師等、大学病院が担う高度先進医療の前線部隊で、病棟等の各部門でリーダーを養成し、医療の「品質向上」を図るのが最大の狙いだ。
 医療事故のよる信頼失墜を回復すべく、企業のCSR(企業の社会的責任)の観点から、正に大学病院という巨大組織全体で「医療倫理・安全確保」と、「医療の質」向上に取り組もうとの真摯な姿勢から生まれた取り組みとして注目される。